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【夫婦の日本史(54)】「妻の支え」で得たノーベル賞 渡部裕明

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【夫婦の日本史(54)】
「妻の支え」で得たノーベル賞 渡部裕明

 □湯川秀樹(1907~1981年) スミ(1910~2006年)

 1949(昭和24)年11月3日、スウェーデン科学院は湯川秀樹・京都大教授にノーベル物理学賞を授けると発表した。中間子の存在を予言した理論に対するもので、日本人初のノーベル賞学者の誕生だった。

 このニュースは、“フジヤマのトビウオ”と呼ばれた古橋広之進の水泳世界新記録などと並んで、敗戦にうちひしがれた日本人の心を勇気付けた。

 秀樹は京大で地質学を講じた小川琢治(たくじ)の三男。他に4人の男兄弟がおり、戦争で亡くなった弟を除いてみな学者になった。次兄で東洋史の貝塚茂樹、すぐ下の中国文学者、小川環樹(たまき)らである。

 旧制京都一中から三高、京大を出た秀樹は、無給の副手だった昭和6(1931)年、見合いをした。相手は大阪で湯川胃腸病院を営む湯川玄洋(げんよう)の末娘、スミであった。秀樹は一目で気に入る。スミも「おとなしいけれど一生を託す唯一の人」と、結婚を決意した。

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