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【家庭医が教える病気のはなし(45)】ノロウイルスワクチンの効果は?

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【家庭医が教える病気のはなし(45)】
ノロウイルスワクチンの効果は?

 ウイルス性胃腸炎の原因として有名になったノロウイルスですが、毎年、大きな流行が繰り返されています。嘔吐(おうと)や下痢で受診する患者さんに「ノロではないでしょうか」と聞かれることも少なくありません。感染力が強いノロウイルスですが、ワクチンによる予防はいまだ研究段階です。今回はノロウイルスの、ちょっと驚くような研究を紹介しましょう。

 この研究は2011年、『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』という臨床研究のトップジャーナルに掲載されました。健康な成人98人にノロウイルスワクチンかプラセボ(偽薬)のどちらかを2回経口接種してもらった後、ノロウイルスを飲んでもらい、どれぐらい感染を防げるかという研究です。これは、まさに人体実験です。

 驚かれるかもしれませんが、治療効果を人で検討する臨床試験というのは実は全て人体実験です。試験管内や人でない動物で得た実験の結果は効果が期待されるだけで、人ではっきり効果があるとはいえないのです。ネズミやサルではなく、人を対象とした実験で効果があるかを検討したものでないと実際の臨床で使ってはいけないというのが医療の前提です。つまり、人体実験を行うことが最も倫理的な方法だと考えられているわけです。

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