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【父の教え】身をもって示した努力の大切さ 東京理科大教授・黒田玲子さん 

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【父の教え】
身をもって示した努力の大切さ 東京理科大教授・黒田玲子さん 

 日本を代表する科学者で、「リケジョ(理系女子)」の先駆者的存在、東京理科大教授の黒田玲子さん(66)。父、正男さんは中世文学などを専門とする国文学者だった。

 「父は寝ても覚めても中世文学論が頭から離れないような学問一筋の人。食事のときの話題も世阿弥の風姿花伝や能楽論など研究のことばかり。子供相手でも大人と同じように話していた。だから、私も幼稚園の頃から風姿花伝のことやいろいろな難しい言葉を知っていました」

 朝食と夕食は必ず家族と一緒に取った正男さんは夕食後、再び大学に戻って研究を続け、最終のバスで帰るのが日課だった。家の中は正男さんの研究のための書籍であふれ、本の重みで自宅の床が抜けたこともあった。

 接する時間は短かったが、正男さんからはいろいろなことを教えられた。今も時々思い出すのは「額に汗して努力しないと良い結果は得られない」との言葉。

 「『おまえは天才ではないんだから努力しないと成果は得られないんだよ』と小さい頃からずっと言われました。子供に言うだけでなく、父は自分も相当努力をしていたと思う。だって、夕飯後にバスでまた大学に戻るなんて普通は嫌でしょ? でも、毎日、ちゃんと大学に戻り、夜遅く帰ってきて、お茶とお菓子を食べてから寝てました。母は早く寝られない、と文句を言っていましたが、父の帰りをちゃんと待っていました」

 正男さんは玲子さんが英ロンドンで研究生活を送っていたとき、病気で亡くなった。夏休みで帰国した数カ月前はとても元気で、一緒に散歩に出掛けたりしていただけにショックは大きかった。

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