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【書評】『星の王子さまからの贈り物 サン=テグジュペリの言葉』

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【書評】
『星の王子さまからの贈り物 サン=テグジュペリの言葉』

 ■「大切なもの」は「必ずわかる」

 砂漠に降り立った星の王子さまは、出会ったキツネに声をかけます。「ぼくと遊ぼうよ。ぼくはすごくかなしいんだ」。ところがキツネは、「君とは遊べないよ」と言うのです。なぜなら、「ボク、君になついていないから」。王子さまは、「なつくって?」と聞き返します。

 サン=テグジュペリの『星の王子さま』の名場面です。キツネは王子さまに「なつく」とは「思いを寄せること」だと伝えます。「君はまだボクにとっちゃ、十万人もの男の子となんら変わらないふつうの一人の男の子なんだ」。だから、「もしよかったら、ボクに思いを寄せてみて」と。

 本書では『星の王子さま』から言葉を抜き、詩人のドリアン助川氏がメッセージを優しく伝えてくれます。

 原稿を読ませていただいたとき、物語が心深くに抱きとめられているのを感じ、胸に染み渡る感動を覚えました。

 「ほんとうに大切なものは目にみえない」、この有名な言葉を受けて、「しかし、それがあるかないかは、必ずわかるのです」とドリアン氏は続けます。「愛する子供を抱きしめる親の微笑(ほほえ)み。(中略)電話が通じ、愛する人の声が聞こえた時の弾んだ声。それらはすべて、人としての美しさが具体的に現れる、命が輝くその瞬間です」と。

 読みながら、数年前に夫(私にとっては父)を亡くした母が思われ、この本を送ろうと思ったのでした。

 手渡すことで、「あなたが大切なのだ」と伝えることができたなら、こんなにうれしいことはありません。(ドリアン助川訳・文/ポプラ社・1365円)

 ポプラ社編集部 野村浩介

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