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【きょうの人】島清恋愛文学賞を受賞した作家、千早茜さん(34)

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【きょうの人】
島清恋愛文学賞を受賞した作家、千早茜さん(34)

 望む愛のかたちを探して不倫に走る主婦、家庭の危機に鈍感な男…。年齢も立場も違う大人の男女の群像を描く連作集「あとかた」(新潮社)で22日、大正期の作家、島田清(せい)次(じ)郎(ろう)にちなんだ第20回島清(しませ)恋愛文学賞(日本恋愛文学振興会主催)を受けた。「はっきりと言葉にはできない微妙な感情を書き続けたい」。デビューからまだ5年。直木賞作家の林真理子さん(59)との同時受賞に恐縮しつつも、進むべき道に迷いはない。

 北海道出身。立命館大学卒業後に書き上げたデビュー作「魚(いお)神(がみ)」で、4年前に泉鏡花文学賞も射止めた期待の新鋭だ。

 初めて職業作家を意識したのは小学生のころ。父の仕事の都合で、小学校5年までの4年半をアフリカ南部のザンビアで過ごした。言葉も習慣も違う、はるかな異国。日本語に飢え、祖父母が毎月送ってくれる5冊の本はすぐに読み終えた。「『日本には本が少ないから、たくさん送ってくれないんだ』と。じゃあ私が(書いて)補充すればいい、って。とんだ勘違いだし思い上がりですよね」

 東日本大震災を挟んで書き継がれた受賞作では、ある男の死が周囲の人間にもたらす、ささやかな変化も丁寧にすくい上げる。

 「当たり前のように続く日常も簡単に壊れる。でもだからといって〈死=不幸〉とは簡単に決めつけられない。生と死が普通に隣り合うアフリカで暮らしたから余計にそう思うのかも」

 受賞作を刊行後の今年7月に結婚。長かった髪をばっさり切った。「心機一転?というか遊び心だけれど、かなり寒くて」と笑った。(海老沢類、写真も)

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