産経ニュース

デジタルの幻想で踊り舞う シンガポールで現代美術展開幕

ライフ ライフ

記事詳細

更新


デジタルの幻想で踊り舞う シンガポールで現代美術展開幕

 アジアの現代美術を紹介する展覧会「シンガポールビエンナーレ2013」が26日、シンガポール中心部の「シンガポール・アート・ミュージアム」と周辺地域で始まり、日本からの展示作品が、訪れた人々の注目を集めている。ホログラムを駆使した等身大の作品群が織りなす巨大な闇空間と、光と音の調和が鑑賞者を魅了している。

 この作品は、プログラマーや建築家など多様な専門家が情報技術関連の事業や現代アートを手がける「チームラボ」(東京都文京区)が8カ月間かけて、同展覧会のために作成した。

 ホログラムで映し出された56種類の人や動物のモチーフがそれぞれに楽器を奏で踊り舞う。人が近づくと、動きを止めたり、再開したりして、独特な空間を作り出す。鑑賞者はそのアルゴリズムの中で、幻想空間の中に溶け込んでいく仕掛けが施されている。

 作成の中心を担ったチームラボの猪子寿之代表(36)は故郷である徳島県の「阿波踊り」からインスピレーションを得たという。ホログラムでは、人々は集団となって勝手に楽器をかき鳴らし、身体を動かすが、近くの集団同士が無自覚にだんだんと音楽のテンポを合わせ、全体が一体化していく。ルールはないのに、ただ気持ちいいという理由で、無自覚に調和が生まれる。

 「昔の人々は、今と違った方法で平和を成り立たせていたのではないか。インターネットで勝手なつながりが加速している現代に、日本の阿波踊りを未来のヒントとして世界に提示していきた」。猪子代表が作品に込めた思いだ。

 作品のタイトルは「秩序がなくてもピースは成り立つ」。独創的な表現方法は、シンガポール政府が2年ごとに開催する同展覧会でも高い注目を集め、地元の英字紙ストレーツ・タイムズ(25日付)は、大きなカラー写真とともに1面で紹介した。

 作品はシンガポール・アートミュージアムで展示中。ほかにも各国からの約80点が展示されている同展は、来年2月16日まで開催される。(シンガポール 吉村英輝)

「ライフ」のランキング