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【ニュース『深・裏・斜』読み】「広がる5年雇い止め」 法改正で、労使に無用な対立

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【ニュース『深・裏・斜』読み】
「広がる5年雇い止め」 法改正で、労使に無用な対立

無用の対立生む

 労使の主張はかみ合わないままだが、大学の雇用実態に詳しい評論家の水月(みづき)昭道(しょうどう)氏(46)は、大学はいまや非常勤講師なしでは成り立たない現状にあると指摘。経営の効率化が求められる中、非常勤講師に長くいてもらうことで教育の質を維持してきた側面もあるだけに、「改正法は大学においては(労使間に)無用な対立を生み出してしまった。5年の契約期間が近づいたとき、大学は適正な次の人材を見付けることができない恐れもある。学生に影響が出ることが何よりも心配だ」としている。

深刻な高学歴のワーキングプア

 非正規雇用として働く高学歴者は増えている。文部科学省の学校基本調査によると、今春博士課程を修了した大学院生約1万6千人のうち、非常勤講師といった非正規労働や、就職・進学をしていないなど「安定的な雇用に就いていない者」は5月1日時点で40・1%に上る。

 背景の一つに国が平成3年から推し進めた大学院重点化政策が挙げられる。この年に約10万人だった修士・博士は24年には約26万人に激増。だが、多くの卒業生の就職先となってきた大学はポストに限りがあり、供給過多に陥った。任期付きの博士研究員として大学に雇われ、研究や学生指導を行いながら正規雇用の道を探る者も多い。

 収入の低さも深刻だ。各地の大学非常勤講師組合の19年度調査では専業非常勤講師約600人の平均年収は約300万円で約半数は250万円未満だった。年収1千万円とも言われる専任教員との格差は大きい。

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