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新書ブーム余波 教養書の仕切り直し? 「選書」相次ぐ創刊 岩波も

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新書ブーム余波 教養書の仕切り直し? 「選書」相次ぐ創刊 岩波も

 老舗出版社の岩波書店は今月、学術的なテーマを専門家が一般読者向けに書く単行本シリーズ「岩波現代全書」の刊行を始めた。近年、類似した位置づけの「選書」創刊が、人文書系の出版社で相次いでいる。なぜ今、選書なのだろうか。(磨井慎吾)

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 出版界ではここ数年、毎年のように選書が創刊されている。平成21年に河出書房新社が「河出ブックス」を、22年に筑摩書房が「筑摩選書」、23年には中央公論新社が「中公選書」をそれぞれ創刊した。

 各社の選書は、人文・社会科学を中心に幅広い分野のラインアップをそろえる。判型は大半が四六(しろく)判(縦約19センチ)に近いサイズで、社ごとに統一されたソフトカバー装丁が多い。

 ◆得意な分野を反映

 中公選書の横手拓治編集長(53)は「長編教養書としての選書を出せる出版社はある程度限られる」と語る。新書に比べて専門的な内容を多岐にわたって展開する選書は、出版社の蓄積や人脈が試される。いきおい、各社の得意分野が濃厚に反映されることになる。「各社の特徴が最もよく出るのが選書かもしれない」

 今月創刊された「岩波現代全書」は、第1弾として、東京都小平市の住民投票など社会活動でも知られる哲学者の國分(こくぶん)功一郎高崎経済大准教授の『ドゥルーズの哲学原理』、格差社会論を提起した経済学者の橘木俊詔(としあき)京大名誉教授の『「幸せ」の経済学』など5冊を同時刊行した。馬場公彦編集長(54)は「岩波は学術書の分野に関して、執筆者人脈などで強みがある。それを生かし、人文・社会科学から自然科学まで全方位で展開したい」と自信を見せる。

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