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【世界史の遺風】(62)汪兆銘 「漢奸」と断罪された「愛国者」

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【世界史の遺風】
(62)汪兆銘 「漢奸」と断罪された「愛国者」

 ところで、中国側にも歴史の見直しの機運があるからとはいえ、劉傑『中国の強国構想』(筑摩書房)は「日本人が汪兆銘を愛国者と評価することはもちろんのこと、彼に示した理解と同情も、中国人から見れば、歴史への無責任と映るのかも知れない」と指摘する。

 われわれ日本人には愛すべきエヒトロスであっても、中国人には憎むべきポレミオスであった。同国人のポレミオスとはやっかいなものだ。

【プロフィル】汪兆銘

 おう・ちょうめい 中華民国の政治家。1883年、清国・広東省に生まれる。1904年、日本の法政大学に留学。孫文の思想に同調し、革命家に。12年の中華民国建国後は孫文側近として活躍。25年の孫文死去後は国民党左派の指導者として、独裁色を強める蒋介石と対峙(たいじ)。37年の日中戦争勃発後、40年に日本の招きに応じて南京国民政府を樹立。44年、病没。

【プロフィル】本村凌二

 もとむら・りょうじ 昭和22年、熊本県生まれ。東大大学院修了。文学博士。専門は古代ローマ史。著書に『薄闇のローマ世界』『馬の世界史』など。サントリー学芸賞、JRA馬事文化賞、地中海学会賞受賞。

 ■連載が書籍に 本連載が書籍になります。25日発売『世界史の叡智-勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ』(中公新書)、861円です。

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