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【話の肖像画】「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(5)

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【話の肖像画】
「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(5)

 ■50歳で人は「生まれ変わる」

 〈約30年ぶりの“強烈な母”との「同居」。初めて気付いたことも多かった〉

 夫や息子に「(母と私が)そっくりだ」といわれたときは、ゾッとしたけど(苦笑)、考えてみれば50年も「母の価値観」から抜け出せなかったのだから、根っこは同じ、結局は“似たもの同士”なのかもしれません。

 もうひとつ、ごく最近、過干渉の母親を持ったアナウンサー出身の女性と対談したときに気が付いたことがあります。その女性は本来の自分は「前に出るタイプ」ではなく、むしろおとなしく隅っこにいる方が好きだったそうです。でも、母親から「あなたは前に出るべきよ」と強く言われ続けたためにアナウンサーになった。結果的にはよかったのだけれど、「強いられた苦しさがあった」と聞きました。

 私は今でこそ、「断捨離(だんしゃり)」のセミナーや講演で、お話ししたり、テレビやラジオに出演する機会も増えましたが、ずっと「人見知りが激しく、明るくもない」と思い込んでいたのです。それは小さいころから母や姉に「何をやってもダメな子」「ぼんやりとした子」と言われ続けてきたから。でも、その女性の話を聞いて、「あっ、私は逆だった。本来の私は根っからのおしゃべりだったんだ」と初めて気が付きました。60歳を目前にしてですよ(苦笑)。それほど“母の呪縛”はすごかったのです。

 〈「人は50歳で生まれ変わるんだ」とある人から聞いた。そのころに親の観念との葛藤から解放され、自分の観念で生きてゆける時期がくる。やましたさんがまさにそうだった〉

 そうすると私はまだたったの9歳。気がラクになるでしょう。別の方は「60代は楽しいよ。まだ体力もあって、お金もそこそこあって、人生の一番、楽しい時期かもしれない」と言います。そう聞くと、励まされませんか? モノ・コト・ヒトとの関係を見直し、苦しみを取り除いてラクになれば、後には楽しみが待っている。「自分のために生き直す」のです。

 おかげさまで今は仕事がモーレツに忙しい。土、日もありません。知らなかった世界が広がり、好奇心もいっぱいです。セミナーに来られる方から教えられることも多い。それによって視点や解釈の幅も広がります。「断捨離」とは固定観念の手放しですからね。

 “強烈な母”との関係ですか? 80歳を超えた今も私に対する態度は同じ。母にとっては、いつまでたっても「ちっちゃなでこ(ひでこ)」ですから。母のことを赤裸々に書いた雑誌はヘルパーさんに頼んで、こっそり読んでいたようです。感想は「ひでこはそんなに私のことが嫌いだったのかねぇ」(苦笑)。私の方は、母の価値観から抜け出したので、もう気になりませんし、かみつくこともありません。

 同じお墓に入っている父と姉に向かって「お母さんは私が預かっているから安心してよ」と報告しています。(聞き手 喜多由浩)

 =次回はアルツハイマー病研究者、高島明彦さん

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