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【話の肖像画】「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(3)

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【話の肖像画】
「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(3)

 ■「他人軸」ではなく「自分軸」で

 「断捨離(だんしゃり)」とは、モノ・コト・ヒトとの関係を見直す“人生の棚卸(たなおろし)”、今の自分と向かい合って自分を取り戻すプロセス。自分にとって不要・不適・不快なものを取り除くと、余裕が生まれ、ゴキゲンな気持ちになります。

 大事なのは「自分がどうしたいのか」という『自分軸』を持つこと。他者の思いばかりが行動や判断の基準になっている『他人軸』はいけません。もちろん、主体的に行う思いやりや気遣いは大事ですよ。怖いのは、無意識のうちに「他者に評価されたい」とか「悪く思われたくない」と、自分の意志に反して不要・不適・不快なものをため込んでしまう“知らず他人軸”。気持ちを押し殺して、「いい人」を演じ続ければ、いずれ消耗してしまいます。

 思えば、自分の価値観とは違う、母の価値観に、とらわれていたころの私も「他人軸」でした。自分に自信がなく、「居場所」が見つからない…。そこから抜け出すのに50年もかかったことは、すでにお話しした通りです。

 結婚後、石川県の地方都市へ移り住んだ私は、そこで「新しい居場所」を探そうとしました。歯科技工士の夫は、いとこ。舅(しゅうと)、姑(しゅうとめ)は叔父さん、叔母さんにあたります。家族仲が良くて優しい人ばかりなのですが、やがてここでも「価値観」の違いに苦しむことになります。

 〈新たな問題は、舅嫁・姑嫁問題と、地方特有の“古い体質”の社会〉

 家長である義父(舅)は絶対的な存在。自分では何もせず、すぐ義母(姑)を呼び付ける。これに対して、義母はいうなれば“究極の他人軸”の人。「(他者から)どう思われるか(悪く思われたくない)」が判断や行動の基準になっていました。それに、基本的に優しい人たちだから善意でお節介を焼く。でも「自分で決めたい」私はそれを重荷に感じてしまう…。

 ストレスをため込んだ私は36歳のときに白血球が減少する病気になってしまいます。髪の毛が抜け痩せ細るばかり。限界でした。このままでは死んでしまうと感じた私は正直に思いを義父に伝え、同居をやめることにしました。義父は「東京から来た嫁が山下家を壊しにきた」とボヤいていたそうですが(苦笑)、救いは夫や親類が味方になってくれたことです。

 〈大学生のときヨガ教室で知った「断捨離」を思い出すのは、この少し前のこと。ストレスまみれの生活のなか「タンスの中の整理」から始め、試行錯誤を繰り返した〉

 結婚してやっと自分の「居場所」が見つかったと思ったら、私にとっては思い通りの(心地よい)居場所ではなかったわけです。やっぱり居場所というのは探す(最初からある)ものではなく自分でつくるもの。モノ・コト・ヒトとの関係を見直す「断捨離」はまさしく、自分の居場所づくりだったのです。

 でも、30代後半から40代にかけて、また「つらいこと」が私に襲いかかります。(聞き手 喜多由浩)

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