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【話の肖像画】「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(2)

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【話の肖像画】
「断捨離」提唱者・やましたひでこ(59)(2)

 ■「居場所」は自分でつくるもの

 50年も“強烈な母”の価値観の呪縛から抜け出せなかった私。子供のころから、自分に自信がなく(自己肯定感の欠如)、それぞれに強烈な個性を持つ父、母、6歳上の姉に挟まれて、自分の居場所を見つけられませんでした。

 〈昭和29年1月、東京に生まれ、両親と姉との4人家族の中で育つ。愛情深いが、短気ですぐ怒鳴る父親。父とけんかが絶えず、愚痴ばかりこぼしている母親。母親のために父親に向かっていく姉…〉

 家族にとって私は、いつまでたっても、「何をやってもダメなちっちゃな『でこ(ひでこ)』」。父、母、姉が激しいバトルを繰り広げる中で、私だけは発言力もなく、母や姉の言うがままに従うだけ。どう身を置いていいのかわからなかったですね。

 私と違って、姉は「何でもできる人」。美人で明るく勉強もできる。男性にはモテモテ。アッシー(車で送ってくれる人)やメッシー(食事をごちそうしてくれる人)に囲まれて、まるで女王さまのよう。ひそかに私は「イメルダ・マルコス夫人(女帝と呼ばれた元フィリピン大統領夫人)」と呼んでいました(笑い)。

 そんな姉にとって私は手間のかかる妹。勉強を教わっては「こんな簡単なことも分からないの」と怒られるばかりで、けんかにもならない。私が姉に初めて「NO」と言えたのは、(私が)40歳を過ぎてからなんですよ。

 〈早稲田大学4年のとき、ヨガ教室に通い始め、『断捨離(だんしゃり)』と出会う〉

 遅まきながら高校のとき、勉強がよくできる友達から教わったおかげで“勉強のコツ”が分かり、早稲田大学に入学できました。ただ、大学でも私は「居場所」が見つけられず、自己肯定感もないまま。引きこもりのようになってしまいます。家でゴロゴロしてても仕方がないので、体を動かそうとヨガ教室に通い始めたのです。きっかけは姉がヨガの本を持っていたから。ここでも姉なんですね。

 〈『断捨離』(断行・捨行・離行)という言葉はヨガのひとつ。欲望を断ち、執着を捨て、あらゆることを手放して、自在に生きる行法哲学のことだ。やましたさんは、この概念を日常生活に落とし込み、自分とモノとの関係の“問い直し”に応用した〉

 ヨガは面白くて、私には珍しく長続きしました。ただ、すぐに「断捨離」に目覚めたわけではありません。当時の私には「手に負えない感じ」があって、無意識のうちに“封印”してしまった。実際に「断捨離」を始めるのは、それから約10年後のことです。大学卒業後、私はいとこの男性と結婚して、石川県の小さな町へ行きます。ずっとなかった「居場所」を探す気持ちもあったのでしょうね。実は居場所は“探す(最初からある)もの”ではなく、自分で“つくるもの”なのですが、それに気が付くのはもっと後の話…。(聞き手 喜多由浩)

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