売れ残り「恵方巻き」大量廃棄、コンビニなど対策 - 産経ニュース

売れ残り「恵方巻き」大量廃棄、コンビニなど対策

恵方巻きを食べる人は平成30年に減少に転じた
 節分(今年は2月3日)の風物詩である「恵方(えほう)巻き」をめぐる状況に異変が生じている。農林水産省は今月、売れ残った商品が大量に廃棄される状況が近年みられているとして、作りすぎを控えるよう業界団体に要請。スーパーやコンビニでは、予約注文を強化したり、商品を小さくしたりするといった対策が広がっている。一方で、「一日限り」の需要と供給の把握が難しい側面もあるため、本来は食べられるのに捨てられる“食品ロス”解消のためには「消費者の意識改革」も必要だとする声も上がっている。(橋本昌宗)
 節分の日に年ごとに決まった方角(今年は東北東)を向き、無言で一気に食べると縁起が良いとされる恵方巻き。もともとは関西を中心に行われていた風習だったが、20年ほど前からコンビニなどが全国的に販売を始め、今ではさまざまな具を巻いたオリジナル恵方巻きも登場するなど、商戦は過熱している。
 それに伴い、近年では、売れ残った商品が大量にゴミ箱に捨てられる画像などが会員制交流サイト(SNS)で拡散され、「もったいない」「食品ロスだ」などと批判が集まるようになった。
 恵方巻きの具材には生魚など長時間の保存がきかないものや塩分を含んでいるものが多く、飼料にするには細かい分別が必要になりコストがかかることが背景にあるという。このため農水省は1月11日、需要に見合った量にとどめるよう、流通業界に異例の要請を行った。
 こうした動きを受け、コンビニやスーパー各社はさまざまな対策を講じている。セブン-イレブンは4種類中3種類を標準サイズ(長さ15センチ前後)より小さい8・5センチとし、ローソンやファミリーマートも9センチの商品を中心とするなど「小型化」。ライフコーポレーションは予約すると会員カードのポイントを付与するキャンペーンを実施。購入者に飲み物をサービスする別のスーパーもある。
 ただ、あるコンビニ関係者は「売り切れが続出すれば消費者からのクレームや、競合他社に消費者が流れることも予想される。売れるのは基本的に節分当日のみで、需要を読み切るにも限界がある」と明かす。
 こうした状況について、愛知工業大の小林富雄教授(食料経済)は「企業は『買う人がいれば売る』のが鉄則。抜本的に廃棄を防ぐには、『予約で買うもので、店頭で売り切れていても仕方がない』というように、消費者側の意識を変えていく必要があるのではないか」と話す。
 かつては「新しい風習」として華々しく脚光を浴びた恵方巻きの需要自体が、頭打ちになりつつあるという見方もある。博報堂生活総合研究所が2年ごとに実施している調査によると、平成22年に「1年以内に恵方巻きを食べた」とする人は46・7%。28年には54・0%まで上昇したが、30年は51・6%に減少した。特に顕著なのが20代で、28年の47・5%から、30年には40・7%まで落ち込んでいる。
 同研究所の三矢正浩・上席研究員は「流行拡大は一段落した印象がある。一過性のブームで終わるか、全国的に定着していくか、瀬戸際にあるのではないか」と分析する。