北海道地震 家具の転倒相次ぐ 配置見直しと固定で防ごう

 
家具転倒防止器具は、ポール式(突っ張り棒)とストッパー式や粘着マット式など、複数の器具を組み合わせると効果が高まる

 北海道で最大震度7を観測した地震では、家屋の損壊まで至らなくても、激しい揺れで家具の転倒などが相次いだ。激しく揺れる家屋で身を守るためには-。重い冷蔵庫や食器棚が危険なのはもちろん、子供部屋には本棚などの倒れやすい家具も。配置を見直して壁に固定し、けがを防ごう。(牛田久美)

避難路を確保

 防災グッズ130種をそろえる雑貨専門店「ロフト渋谷店」(東京都)は6日から、家具転倒防止器具、災害食、手動の携帯電話充電器などが次々に売れ、店員が補充に追われている。

 チーフの出口涼子さん(39)によると「北海道の友達や家族に送りたい」「自宅内を見直したい」と若者から年配者まで来店。「通りがかりではなく目的買い」で、6日の売り上げは前日の13倍に上った。

 家具転倒防止器具は年配女性の購入が多いという。

 地震に備えて家具の固定を呼びかけているのは、人口密度が高く、狭い空間に家具を並べて人々が暮らす東京都の防災管理課。

 その理由は、(1)はさまれたりぶつかったりしてケガをすると、その後の避難生活に影響する(2)倒れた家具や割れた窓、食器が避難を妨げる(3)ストーブの上などに倒れると火災につながることがある-からだ。

安全スペースを作る

 家具の地震対策は、まず「なるべく部屋に物を置かない」(同課)ことが前提となる。物は納戸やクローゼット、据え付け収納家具にしまう。緊急地震速報を聞いたら、すぐに物が少ない空間に移動する。

 次に、家具が倒れても避難できるよう配置を工夫する。子供部屋の本棚などはドアをふさがず、机に向かう子供にぶつからない向きに。ほかの部屋でも台所のコンロ、ベッド、窓、ストーブなどに当たらない向きにする。

 その上で、家具を壁に固定。東京消防庁の測定で最も効果が高かったのは、家具をL型金具で壁にネジで直接固定する方法だった。

 一方、壁や家具を傷つけない「粘着マット式」「ストッパー式」「ポール式」は、組み合わせて使うと効果が高まった(平成27年、都生活安全課の転倒防止器具の性能テスト)。

 震度6強の地震波のテストでは、3種7商品の全てで家具が転倒したが、家具の下部にストッパー、上部にポールなどを組み合わせると、10センチ以下の移動に抑えられた例があった。

 動く家具は命を奪う可能性もある。東日本大震災後、都内へ避難した福島県浪江町の70代男性は今も言葉を詰まらせる。「原発事故で町を離れた夜、家具の下敷きになったりして動けない人たちが、物をたたいて助けを求める音が響いていた」。固定は命に直接関わる重要な防災対策となる。

                   ◇

 ■谷だった地区に被害集中

 地震発生時、出張で道内にいた地盤解析会社「地盤ネット総合研究所」の横山芳春・技術副本部長(40)は液状化被害にあった札幌市清田区で現地調査した。

 調査によると、被害が集中したのはかつて谷だった地区。戦後に盛り土され、住宅街になった。5日夜、台風21号の大雨がかつての谷部に集まり、地下水位が上昇。地盤が水にひたされ、地震発生で液状化したとみられる。横山さんは「盛り土の地区は揺れが増幅される傾向がある。清田区は震度5強だったとされるが、より大きく揺れた可能性もある」。左右に揺れ、家具は倒れ、家屋が傾いた。「同様に台地を造成した地は全国各地にある。関東ローム層はもちろん、北関東も火山灰台地。関西は池や沼を埋め立てた地が多い。また、都会より地方が安全とは限らない」と話している。