長時間停電 安全に乗り切るにはどうすればいい?

 

 自然災害が原因の大規模な停電が立て続けに起きている。最大震度7を観測した北海道の地震は道内全域が停電する「ブラックアウト」を引き起こし、近畿地方を直撃した台風21号は阪神・淡路大震災に次ぐ規模の停電被害を出した。電気が断たれたとき、どうすれば暮らしを守れるのだろうか。(玉崎栄次)

枕元に防災セット

 北海道は、6日の地震の発生直後に道内全ての約295万戸が停電。99%超の復旧には8日夜までかかった。近畿では、4日に上陸した台風21号に伴う停電は8府県で延べ約224万戸に上り、一部の地域では11日時点でも復旧していない。

 日頃からの災害への備えが、長時間停電にも確実に役に立つ。家庭や企業の防災コンサルティングなどを手がける「ソナエルワークス」代表の高荷(たかに)智也さんが語る。「まずは、夜間の停電に備え、安全に対処できるよう最低限の防災セットを用意してもらいたい」

 懐中電灯や、手足を保護するスリッパと軍手、救助時に居場所を知らせる救命笛、眼鏡などの必需品をポーチにまとめ、寝ている場所から手の届くところに準備しておく。家族に1つではなく、人数分を用意することが重要だ。

断水の恐れも

 停電すると、集合住宅などでは送水ポンプが止まり、水道が使えないことがある。通常、飲料水や生活用水など1日当たり1人3リットルの水が必要とされており、高荷さんは「最低3日分、可能なら1週間分を確保しておきたい」と話す。

 節水も必要になってくる。食器洗いの水を減らすため、皿などにラップをかぶせて使うなど工夫したい。台風など準備の時間がある場合は、湯船に水をため、備蓄を買い増しておけばより安心だ。

 冷蔵庫も心配になる。「数時間から半日以内の停電は内部の冷気を維持するため、中が気になっても開けずにおく」(高荷さん)。長期化する場合は傷みやすいものから食べたり、カセットコンロなどで加熱調理して保存期間を延ばしたりする。

「通電火災」に注意

 停電からの復旧時にも危険は潜んでいる。通電時に電化製品の発火などで起こる「通電火災」だ。阪神・淡路大震災では、原因が特定できた建物火災の6割が通電火災だとされている。

 例えば、地震の揺れでヒーターなど電化製品の発熱部に、カーテンなどの可燃物が触れた状態になると、通電が再開された際に発火する恐れがある。

 東京電力パワーグリッド(PG)の広報、橋和希さんは「通電火災は分電盤のブレーカーを落とすことで防ぐことができる。避難などで自宅を離れる場合は注意してほしい」と呼びかける。地震時に揺れを感知し、自動的にブレーカーを落とす装置もあるので、利用するのも一つの手だ。

 床上浸水など水害時には、一度ぬれた電化製品は漏電の恐れがあるので、個人の判断で触れずに電力会社に相談する。

 停電時は外出にも注意が必要だ。橋さんは「道路に電線が垂れていたり、信号が消えたりしていることも想定される。危険な場所には近寄らず、慎重な行動を」と話す。

 また北海道の地震では、ガソリン式発電機を室内で使い、一酸化炭素中毒による死者も出た。道警などは発電機使用時の十分な換気を呼びかけている。