【解答乱麻】教師の技量を上げるには TOSS代表・向山洋一 - 産経ニュース

【解答乱麻】教師の技量を上げるには TOSS代表・向山洋一

 教師の、一番大切な仕事は授業である。
 学校で、子供たちが最も多く学ぶ時間は、授業である。
 教師が、最も多くの時間を使うのも「授業時間」である。
 授業には「授業内容」が必要であり、「授業教材」が必要である。そして、教師のすぐれた「授業展開」が必要となる。
 授業内容、授業教材は、法令で決められている。日本中、同じである(教科書は検定したものを選択できるが)。同じ内容を、同じような教材で、同じ時間をかけて授業をしている。
 全国的に、同じように展開されているが、実は、学校によって、クラスによって、担任によって違いが生まれている。
 学習内容をきちんと管理している学校もあれば、教科書が終わらなくても平気な学校もある。授業内容が、子供たちに定着しているクラスもあれば、多くの子供たちが落ちこぼれているクラスも珍しくない。
 同じ教材を使い、同じ授業時間で教えているのに、このような差があるのは、「子供たち」と「教師」の「学習能力」に差があるためである。
 子供たちには、学習内容を教えるとともに、「学び方」「学ぶ力」を身につけていかねばならない。それは、教師自身についてもいえる。
 教師の技量を上げるためにはそれなりの努力をしなければならない。努力によって、技量を磨いていかねばならない。
 よく学ぶ教師こそよく学ぶ子供を育てられるのである。
 私たちTOSSの研究会では、授業技量の検定セミナーを実施している。
 教師の「教え方」には「上手」「下手」があり、どの教師の「教え方」も上手になってほしいからである。
 授業の上手な教師は、授業の初めから子供たちをひきつける。興味深い話、面白そうな実験などで、授業に引き込んでいく。子供たちを熱中させるような準備、工夫、努力をしているのである。
 先生方の勉強会にも、進んで参加をしている。
 しかし、残念なことにこのような熱心な教師は多くはない。相手が子供のこともあり、おざなりな、つまらない授業をしている教師も、かなりの数になる。
 すばらしい教師が担任になれば「学校へ行くのが楽しい」「勉強が面白い」という子供が続出するのである。
 TOSSでは、毎年、全国各地で「授業技量の検定セミナー」を実施している。
 9月になってすぐ、東京のお台場で実施された「TOSS授業検定セミナー」では、検定受検者が52人いた。全国各地からの参加である。参加するまでに指導案審査があり、通過した者だけが受検できる。
 アドバイスするコメント講師は15人である。
 講師は、批評するとともに、自分がやってみせることも必要になる。代案を見せられる技量が必要となる。
 授業が上達するには、子供の前でやっているだけでは駄目である。教師たちの前で授業をして批評されなければ上達しない。研究授業をやらないで、逃げまくる教師もけっこういる。いつまでたっても、下手な授業だ。
 時には、子供たちに参観者へ礼を言わせる。研究授業は教師の事情でするものだ。教師が子供たちに礼をするのならわかる。逆であろう。教師の媚(こび)ともとれる。異様で異常な光景だ。もっとも、多くの教師は、品性も気高い。このようなひどいことをする教師は、極めて少ない。
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【プロフィル】向山洋一
 むこうやま・よういち 30年以上の教員経験。「TOSS」(教育技術法則化運動)は全国の教員約1万人が参加。