【信州ワイド】シルクからワインの街へ 長野県東御市の田沢地区 第1弾は酒屋復活 - 産経ニュース

【信州ワイド】シルクからワインの街へ 長野県東御市の田沢地区 第1弾は酒屋復活

地元有志が復活させた「関酒店」。観光客や住民との交流の場になっている=長野県東御市(久保まりな撮影)
地元メンバーと談笑する「田沢ワイン村」の小林茂徳代表(左)=長野県東御市(久保まりな撮影)
 シルクからワインへ-。かつて養蚕で栄えた長野県東御市田沢地区の里山を、ワインの街として売り出そうとする動きが活発化している。第1弾として地元有志が一軒の酒屋さんを復活させ、地元産ワインなどを販売し、地域住民や観光客の交流拠点になりつつある。8月中旬からは同地区で民泊も始め、ワイン用ぶどうなどの農業体験プログラムの実施を検討している。ワインで街のにぎわいを取り戻せるか。地元住民の挑戦が続く。(久保まりな)
空き家を活用
 「酒屋さんを復活させたらどうか」
 人口約600人の同地区で地元有志が集まった席上、こんな話が持ち上がったのは昨年春のこと。地元有志とは、同地区で地域活性化を目的に活動する人たちで、平成24年ごろから、地元産ワインや野菜の即売会などを市内や東京で開催している。
 同地区はかつて養蚕が盛んだった。50年ほど前に養蚕製糸業が衰退した後、ぶどうに適した自然条件を生かし、主要産業はワインにシフトした。現在では地区内に3つのワイナリーができ、県を代表する「千曲川ワインバレー」の一大拠点となっている。
 しかし、同地区には販売を手がけるお店が1軒もなかった。観光客がワインを目当てに訪れても、肝心のワインを提供するお店がなければ、魅力に陰りが差してしまう。あれば観光客や地元住人との交流を図る場にもなる。
 そんな時、増え続ける空き家を活用できないか、との案が持ち上がり、酒屋さんを始めることになった。目の前に横たわる課題をすべて解決できるのではないか-。そうした思いが背中を押し、「やってみよう」とみんなが賛成。このプロジェクトがスタートした。
 使用した空き家は、昭和25年ごろに創業し、後継者がいないため平成20年に廃業となった「関酒店」の建物。営業していたころは、地域の祭りや寄り合いの際、店主の熱意もあり、頼りにされる存在だったという。
 地元有志は、空き家の改装だけではなく、約半年かけて酒販免許も取得した。寄付も募り、「関酒店」として開店したのは今年の4月下旬。だが残念なことに、観光客の入り込みに悩む日々が続き、6月1日からは祝休日の限定営業になった。
 それでも、地元産ワインなど品ぞろえの多さには揺るぎない自信を持ち続けていたかいがあり、最近では、少しずつでも確実に、観光客が増えてきた。このため地元有志の間には、「ワインの田沢地区」が根付き始めていると、満足感が広がっている。
 店を経営する「田沢ワイン村」の小林茂徳代表は「店を開店したことで、地元の人もワインを飲むようになってきた。地区の売りとしているワイン文化が身近になってきた」と話す。
観光資源を線で
 8月中旬からは同地区の民家を活用した民泊も開始した。将来的には、ワイン用ぶどうなどの農業体験プログラムも始める考えだ。小林代表は「ワイナリーや宿泊施設など『点』の観光資源を『線』で結びたい。ワインを中心として、街のにぎわいを戻したい」と夢を膨らませている。