“まるで異世界” 40島以上を旅した「離島女子」が語る「離島ひとり旅」のすすめ

 
上甑島(鹿児島県)の「長目の浜」。幅50メートルの砂州が4キロにわたって続く絶景

 離島に魅せられて7年。その間に旅した島は40を超えるという「離島女子」が、旅の記録をまとめて1冊の書籍にした。都会の日常とは違う、“異世界”ともいえる場所で出合った驚きの数々がつづられている。離島の魅力とは?

きっかけは粟島

 「離島ひとり旅」(辰巳出版、1500円+税)を出したのは、東京都内のラジオ局に勤める大畠順子(おおはた・じゅんこ)さん(35)。

 国土交通省の定義では、北海道・本州・九州・四国・沖縄本島の5つ以外の島を「離島」と呼ぶ。平成30年現在、有人(人が住んでいる)離島は418島とされる。

 大畠さんは7年前、粟島(新潟県粟島浦村)を訪ねて離島に魅せられた。同県の佐渡島を旅行した際、その北にもう一つ島があること知り、気になって2カ月後に訪ねた。

 海岸線約20キロの粟島には、道路が2本しかなく信号機は1つしかなかった。大畠さんは、役場で自転車を借りて島を一周したが、職員から必ず役場の自動販売機で飲み物を買うよう念を押された。途中、自販機も店もないからだった。

 大畠さんは、東京とはあまりに異なる生活と景色に驚いたが、もっと離島を知りたくなった。

 粟島から戻ってほどなく、最南端の離島である波照間島(はてるまじま)(沖縄県)と最西端の与那国島(沖縄県)を訪ねた。翌年は、北方領土を除く有人離島で最北端の礼文島(北海道)へ飛んだ。

 さまざまな島について調べた。行きたい島がだんだん増えて、週末や休日に、どんどん出かけた。

驚きが魅力

 大畠さんは、「事前に歴史や暮らしぶりなどを調べるだけでおもしろいのに、実際に行くともっとおもしろい」と離島の魅力を語る。

 17世紀の英海賊、キャプテン・キッドが財宝を隠したという言い伝えがある島。昼休みに住民が、夕飯のおかずのための魚釣りを一斉に始める島。「番地」がなく島の名前と氏名だけで郵便物が届く島。

 大畠さんは、「“斜め上を行く”驚きの連続」と表現する。

 愉快な経験も多い。ある島の民宿では、夕飯の時間になったら「外食しよう!」と女主人に連れ出された。主人は、そのまま宴会に出かけてしまった。大畠さんの翌日の朝食は、主人が宴会で土産にもたされたすし折りだった。

 「人間味があって愉快。田舎のおばあちゃんの家に来たみたいな心地よさがある」

 大畠さんにとって、都会と勝手が違うところが、離島の魅力なのだ。

離島女子旅ブームも

 ここ数年、同じ離島女子と出会うことが増えたと大畠さんは感じている。多くは、カメラを提げ、麦わら帽子をかぶってかき氷を食べているような、普通の女性たちだ。

 「働いて自分の趣味を持つ女性が増え、一人旅も増えた。風景が美しく、簡単に異世界に行ける国内の離島は格好の旅先。山登りやビーチ、聖地巡礼や猫の写真撮影…。418島もあるから何かしら好みに合う島が見つかる」と大畠さん。

 大畠さんは旅行記を会員制交流サイト(SNS)に投稿しているが、それを読んで離島女子になったという女性の声を聞くようにもなった。

 大畠さんは、「島には、私たちにとっての非日常を日常にしている人たちがいることを忘れないで。それから、天候不良で帰れなくなっても騒がないこと。心優しい島の人たちを困らせるだけですから」と離島旅の心得を話す。(文化部 永井優子)

 「離島ひとり旅」 大畠さんのSNS投稿をまとめたこの本は、東京からのアクセスや攻略しやすさによってビギナー編、中級者編、上級者編に分けて、おすすめの30島を紹介している。

 辰巳出版の担当編集者、小林智広さんは「日本全国を旅しており、こんな人に出会った、こんなふうに面白かったと、いい意味の旅行者目線で書いているのが特徴」という。

 大畠さんは、「初心者へのイチ押しは、海が素晴らしくて島の雰囲気が優しい与論島(鹿児島県奄美群島)。週末だけで楽しみたいなら、竹芝桟橋から高速船で3時間で行ける式根島(東京都伊豆諸島)。喜界島(鹿児島県奄美群島)は、海の透明度が高く、人が少ないので狙い目」と話している。