「仕事バー」(江東区) グラス片手に「働く」を語る 

TOKYO まち・ひと 物語
しごとバー「編集家ナイト」で話す(右端から)今井夕華さん、角めぐみさん=東京都江東区のリトルトーキョー

 清澄庭園(東京都江東区)近くに変わったバーがある。多目的スペース「リトルトーキョー」で開かれる「しごとバー」はグラスを片手に、その業界人をゲストに迎え仕事の話を聞く場だ。運営するのは求人サイト関連会社「シゴトヒト」だ。ネットでは分からない仕事の様子、喜びなどを生の声で知ることで、職業がより身近になっていく。

 なごやかな雰囲気で

 取材の日は「編集家ナイト」。地方を旅しながら、取材や記事の書き方、写真撮影を学ぶ「旅するスクール」を主催する角めぐみさんらがゲストとなり、編集の仕事を紹介した。約20人の参加者は、編集の仕事をしてみたい人、地方移住を考えている人など動機はさまざまだ。

 同スクールは昨年、宮城県山元町のPR用フリーペーパーを請け負い、スクール参加者が取材した記事や撮影した写真を掲載して作り上げた。今年も参加者を募り、フリーペーパーを作成するという。

 角さんは「地方への移住はお見合いのようなもので、ハードルが高い。山元町は定住ではなく、長く関わり続ける『関係人口』を求めている」と発言。編集の技術を学ぶ機会があれば、町に訪れやすいのでフリーペーパーを発行することにしたと説明した。

 その後、参加者から質問が出た。

 「取材はどうするのですか」

 「地元の編集者が同行して、事前にデモ取材をするので感覚をつかんでください」

 「写真も撮影するのですか」

 講師の一人、フォトグラファーの栗原大輔さんが「その場で教えますので心配なく。でも少しは触っておいてください」と回答。途中で昨年のスクール参加者が経験を話すなど、なごやかに進んでいった。

選択肢広げたい

 同社の求人サイト「日本仕事百貨」は業種や待遇だけでなく、働き方、生き方も紹介している。

 しごとバー担当、今井夕華さんによると、文字や画像だけでは伝わらない「熱量」を紹介する「ウェブとリアルをつなぐメディア」として始まったという。

 平成26年2月に虎ノ門(港区)で始まり、移転をへて今年8月までに500回以上開催している。

 例えば、歌舞伎の小道具を製造する仕事を紹介する「伝統芸能の小道具ナイト」では、ゲストの職人が和傘などを持参してくれた。「こうした知らない職業を紹介することで、選択肢が増えるとうれしい」と今井さん。

 自転車メーカー「tokyobike(トーキョーバイク)」を紹介した際は、参加した女性がその後、同社に就職したそうだ。「ここにゲストで来た社長さんと軽いノリで会えて、その後、夜中まで飲んで気が合ったようです」

 今後は、ゲストとして、いわゆる裏方の仕事や鬼瓦やこいのぼりを作る職人、パイロットや看護師といった子供の夢に出てくるような職業の人を呼んでみたいという。参加者も20、30代の社会人が多いが、大学生も来て視野を広げてほしいと期待する。

 週5回の開催を目標にしている。詳しくは、しごとバーのウェブサイト(https://shigoto100.com/event_cat/shigotobar)。次回は14日、「月に庭をつくらナイト」として、庭師の仕事を紹介する。(慶田久幸)