藤原定家写本の歌学書「俊頼髄脳」 翻刻本が完成 冷泉家、戦前原稿を基に

 
完成した翻刻本(奥右)と、原稿を書き残した23代当主冷泉為臣の写真(同左)。手前は藤原定家の写本=3日、京都市

 鎌倉時代の歌人、藤原定家が写本した平安後期の歌学書「俊頼髄脳」の翻刻本が完成した。定家の流れをくむ冷泉家の23代当主、為臣(1911~44年)が戦前に書き残したものを基にしており、現当主の為人氏(74)は3日、京都市で記者会見し「死後74年たっても色あせないと実感している」と喜びを語った。

 「俊頼髄脳」は、平安後期の歌人、源俊頼の歌学書で後世に大きな影響を与えた。定家の写本は2005年に冷泉家で見つかり、「俊頼髄脳」の最古の写本として注目を集め、08年に重要文化財に指定された。

 為臣は写本を解読した上で、別の写本と照合しほぼ完全な原稿を書き上げたが、出征先の中国で戦死。写本の発見をきっかけに、出版されることになった。校正に携わった相愛大の鈴木徳男教授は「もう少しで出版という時に戦地に赴き、非常に残念だったのではないか」と話している。

 「時雨亭文庫 二 俊頼髄脳」は和泉書院から出版され、定価1万3500円。