ゲームで生活破綻、それでも止められず…依存は「疾病」、WHOが分類

ネット依存

 「生活が破綻しても、ゲームしか頭になかった」。10代の頃からスマートフォンゲームを始め、課金で200万円の借金を抱えた奈良県出身の男性(24)は、インターネット依存の代表とされるゲーム障害の実態を振り返った。

 バレーボール部で全国大会にも出場した高校時代は、スマホゲームは単に暇つぶしの一つだった。大学入学後、友人から4人で協力して戦うゲームに誘われたのが転機となった。

 「時間や場所を問わず、仲間と一緒にクリアしていける醍醐味(だいごみ)は、肩を痛めて辞めたバレーとは違う居場所を与えてくれた」

 防火設備会社に就職後、依存は加速する。宿直や夜勤の後に「今日も残業がしんどかった」などと愚痴を言い合いながら楽しめるゲームは、唯一のストレス発散になった。やがて、スマホとタブレット型端末計4台を使うように。食事もせず、午前4時までスマホが手放せないこともあった。

 異動で残業が減り、約60万円あった月給が半減すると、有料くじ「ガチャ」に大金を投じていた生活は一気に破綻。借金が3カ月で100万円を超えた。督促状に気付いた母親が計200万円を返済してくれたが、翌日もガチャに手をつけた。

 最後は会社の同僚らからも借金し、休職に追い込まれた。現在は依存症者を支援する施設に入り、回復プログラムに取り組む。男性はこう悔やんだ。

 「ゲームを辞めることは全く考えられない頭になっていた。親や同僚を裏切ってしまい、申し訳ない」

 ゲーム障害(依存)については、世界保健機関(WHO)が6月、新たな病気として国際疾病(しっぺい)に分類。来年5月のWHO総会で正式決定する見通しだ。疾病とされることで明確な治療法の確立につながると期待されるが、米国のゲーム団体を中心に「ゲームに依存性はない」などと反発もあるという。

 日本でも数年前に、専門家が依存を引き起こす一端と指摘しているゲーム内の課金をめぐり、子供が保護者のクレジットカードを使うなどして高額請求を受ける事案が頻発し、社会問題化した。

 今回、厚労省の調査で中高生のゲーム依存が広がりをみせ、問題がいまだ解決していない実態が浮き彫りになった。平成23年に国内で初めてネット依存外来を開設した国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は、「スマホを取り上げるなどの手段には限界がある。最後は本人に気づいてもらい、(スマホ使用をやめるなどの)努力を促さなければならない」と指摘している。