【白洲信哉 旅と美】日本の歴史 礎は「縄文」にあり - 産経ニュース

【白洲信哉 旅と美】日本の歴史 礎は「縄文」にあり

縄文土器の中でもよく知られている火焔土器の一群。こうした土器は主に新潟県周辺で発見され、画家の岡本太郎は「われわれ祖先が作りだしたもの、大事な文化の遺産」と記した(PENTAX K-1、HD PENTAX-D FA28-105ミリ、F4.5 1/50sec ISO 3200)
 日本は歴史が重層したユニークな国だが、その礎が「縄文」にあり、その精神性が現代につながっていることは一般的ではない。本年は北海道命名150年の節目の年だが、すでに縄文時代、北東北地域とは濃密な交流があり、似たような土器や翡翠(ひすい)製品にアスファルトなど、津軽海峡を越えた広範な交易圏を形作っていたことが、発掘された「美」から明らかである。
 三内丸山遺跡などは、3千年もの長期間定住している。これだけ長期間暮らせたのは、今に続く食の多様性があったからだ。獣は60種類以上、魚が70種類以上に、貝類になると350もの数にのぼり、その他無数の木の実など、今日のスーパーの品ぞろえなど比較にならない。彼らは、装飾性の強い土器で煮炊きすることにより、生の材料の保存や、硬いものを軟らかく、各家々にあった竈(かまど)は、縄文以来続いたもので、鍋料理が多様なのも、その名残と言っていいと思う。
 発掘されたまれなる美から、われわれの先祖に思いをはせてほしい。特別展「縄文-1万年の美の鼓動」は東京国立博物館で9月2日まで開催中(http://jomon-kodo.jp/)。
【プロフィル】白洲信哉
 しらす・しんや 文筆家。昭和40年生まれ、東京都出身。日本文化の普及に努め、展覧会など文化イベントの制作にも携わる。最新刊「旅する美」(発行・目の眼)発売中。