虚と実、動と静、生と死…小瀬村真美の個展

 
「Objects-New York VI」 2016年 (C)Mami Kosemura

 絵画をモチーフにした作品を国内外で発表している美術家、小瀬村(こせむら)真美の美術館で初となる個展が東京・北品川の原美術館で開かれている。

 絵画なのか写真なのか、あるいは映像なのか判然としない。例えば黒を背景に小物が配置された「Objects-New York VI(オブジェクツ・ニューヨーク・シックス)」。左端にあるのは古びて年代物のような風情を醸し出す水差し。右端には何かの破片の一部なのか、乳白色の物体が立つ。ほぼ中央に置かれたガラスのグラスは光を受けて鈍く光る。整然として静か。油絵の具で描いたような艶やかさと生々しさがある写真作品だ。17世紀前半に活躍したスペインの画家、スルバランの静物画を参照したという。

 小瀬村は昭和50年に生まれ、東京芸大大学院を修了した。当初は実在する17世紀の静物画を模したセットを作り、連続撮影してつなげた動的なアニメーション作品を制作した。展覧会場には、画面上の事物が徐々に変わる映像作品やテーブル上の物を白い布で覆って、時を封じ込めたようなモノクロームの作品もある。作品の根底には虚構と現実、動と静、生と死といったイメージが込められている。現実とはいったい何か。作品の世界に浸っていると、目の前の世界を疑ってしまう。約30点の展示。(渋沢和彦)

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 「小瀬村真美:幻画~像(イメージ)の表皮」は9月2日まで、一般1100円。問い合わせは同館(電)03・3445・0651。