まるで海外! 東京英語村プロジェクトの挑戦 「使える英語」を子供たちに - 産経ニュース

まるで海外! 東京英語村プロジェクトの挑戦 「使える英語」を子供たちに

9月オープンの「TOKYO GLOBAL GATEWAY」。国際線の航空機を想定したゾーンでは、機内サービスに関するやりとりを英語で体験する=8月20日、江東区
英語で自らの考えを表現するプログラムを体験する教諭ら=8月20日、江東区
海外のレストランを想定したゾーンで、メニューを見ながら英語で注文したり店員とのコミュニケーションに挑戦したりする教諭ら=20日、江東区
 都内にいながらにして海外にいるような疑似体験ができる都の英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)」(東京都江東区)のオープンを前に、小・中・高校の教員らを対象とした体験会が始まっている。都が平成28年に公募した英語村プロジェクトで、小学生から高校生までを対象に、「英語を活用する」「英語で学ぶ」という2つのテーマのもと、英語を話す体験を通して学習意欲向上を狙う。内向き指向ともいわれる日本の子供たちが、世界に視線を広げるきっかけをつくれるのか。教育関係者の関心は高まっている。(石井那納子)
まずは単語だけでも
 9月6日に開業を控えるTGGは、民間企業5社が参画し約10億円を投じて完成した。総面積7千平方メートルの広々とした空間には、本物の座席を使って再現した飛行機の機内やホテルのロビー、診療所などリアルなセットと、実験室、スタジオなどが配置されている。
 空港をイメージしたゲートをくぐれば、英語づくしの1日が始まる。
 実際の体験では、児童・生徒は8人程度を1グループとしてブログラムを体験し、各グループには世界各国から集まった「エージェント」と呼ばれる英語の話し手が付き添う。
 「What is that sound?(何の音でしょうか)」
 体験会が行われた8月20日、身近なものを使って効果音をつくるプログラムに小学校教諭らが挑戦した。
 放送終了後のテレビの砂嵐に似た、ザーザーという音を流しながら講師が問いかける。参加者はWaterfall(滝)、River(川)など知っている単語を並べてディスカッションを始めた。
 発言をためらっている参加者には、エージェントが手助けをしながら意見を引き出す。
 「That sounds like Rain.Especially,heavy rain(雨の音みたいに聞こえます。それも大雨)」
 講師の「Great(素晴らしい)!」という言葉に緊張していた参加者の表情も和らぎ、自然と会話が続くようになっていった。
中高生の約9割「英語が話せたらかっこいい」
 東京都教育委員会は昨年12月、グローバル化に対応する「使える英語」を身につける必要があるとして、全国で初めて、公立高校入試で一律に「Speaking(話す)」技能の試験を課すことを決めた。今年度中に導入時期や方法などを決め、来年度から都立高校入試で試行を始める。
 平成32年度から現行の大学入試センター試験に代わって話す技能が新たに加わるほか、小学校でも本格的な英語教育が始まる。
 話す技能の重要度が高まる一方で、日々、児童・生徒らに向き合う教員からは「英語に苦手意識を持つ子供たちの不安を払拭し、話してみようと思わせるのは簡単ではない」「発話のきっかけをどうつくるかが大きな壁となっている」との声も聞かれる。
 ベネッセ教育総合研究所が全国の中学1~高校3年生約6300人を対象に行った「中高生の英語学習に関する実態調査2014」によると、中学・高校生の約9割は「英語が話せたらかっこいい」と答えた。
 さらに「自分が大人になるころの社会では英語が必要になっていると思う」と認識する生徒は8割を占めたが、「自分が英語を使うイメージがほとんどない」との回答が4割を超えるなど、理想と現実の差が浮き彫りになった。
 こうした背景には、内向き指向の影響や、外国人や外国の生活・文化に触れる経験が少ないことなどが考えられるという。
 体験会を終え、中央区立明石小の近藤舞教諭は「本物そっくりのセットは子供たちの想像力を刺激し、どういう場面で英語力が求められるのかわかりやすいはずだ」と分析。自らも挑戦した効果音に関するディスカッションを振り返って「シンプルな単語や表現でも自分の意見を伝えられることに気づけば、子供たちも英語で話すことに自信を持てるようになるのでは」と期待を込める。
 すでに都内外から約370校、4万7000人の予約が入っているといい、引き続き年度内の予約を受け付けている。