「泳げる霞ケ浦」復活なるか 茨城県 1960年代水準に水質改善へ - 産経ニュース

「泳げる霞ケ浦」復活なるか 茨城県 1960年代水準に水質改善へ

湖の水を採取する長浜祐美さん=7月19日、茨城県・霞ケ浦
茨城県霞ケ浦環境科学センターにある窒素やリンを調べる機械=7月19日、土浦市
 目指せ「泳げる霞ケ浦」-。全国2番目に大きい湖として知られる霞ケ浦の水質改善に茨城県が乗り出している。多くの湖水浴客でにぎわっていた1960年代後半のレベル復活が長期目標だ。水質確認調査に同行し、湖の現状を取材した。
 猛暑となった7月19日午前9時半。土浦港(同県土浦市)を出港する県霞ケ浦環境科学センターの調査船「つくばね」にセンターの職員3人と共に乗り込んだ。
 出港直後、船後部から振り返って見ると、水の色は薄黄色で濁りも見えたが、想像とは違って臭いはほとんどしない。センター湖沼環境研究室長の松本俊一さん(50)が「十数年前はアオコが発生して水面は緑色でしたが、最近は改善されています」と教えてくれた。
 出港から約5分後、最初の調査地点「掛馬沖」に着くと、技師の長浜祐美さん(36)、中川圭太さん(29)が手早く作業を始めた。
 まず水深と透明度を計測し、それぞれ385センチ、55センチを記録。続いて水面下50センチと湖底から50センチ地点の水をポンプでくみ上げた。さらに網で水中の生物を採取。瓶の中に入れてみると、エビの仲間で体長1センチ程度の「イサザアミ」が見られた。
 掛馬沖から約20分かけて沖合へ進み、湖の中心部「湖心」にたどり着いた。水の色は薄く、透明度は75センチ。たくさんのミジンコも確認できた。
 中川さんは「同じ湖でも、流入する河川の影響を受けやすい岸辺よりも沖合のほうが水質はきれいなんです」と話す。
 湖心を後にして土浦港へ戻ったのは正午。日焼けで顔がひりひりした。
 センターは毎月、採水して成分を分析。水に含まれる窒素やリンは水質悪化の原因となるプランクトンの栄養になっており、含有量などを調べることで、水質変化の予測に役立てているという。
 水質改善には、周辺から霞ケ浦に流れ込む水をきれいにするのが重要。下水道整備や工場の排水規制などの対策を進め、水質も最悪の時期に比べ改善したが、近年は横ばい状態が続いている。
 県は、湖沼の環境問題を議論する国際会議「世界湖沼会議」が今年10月に県内で開催されるのを機に、水質改善に向けた機運を高めたい考えだ。
 4月に新設された次長級の霞ケ浦浄化対策監に就任した松本周一さん(58)は「対策を加速させ、県民が誇りに思える霞ケ浦の自然環境を実現したい」と強調する。
 航行中、水に手を入れると、ぬるく感じた。水温は31・5度。水がきれいだったら泳ぎたかった。取材を通じ、関係者の強い熱意を感じた。時間はかかるかもしれないが、泳げる霞ケ浦は必ず実現するはずだ。