【さくらももこさん死去】「ちびまる子ちゃんの街」静岡・清水 昭和の面影が消えても、小学生が駆け出してきそう - 産経ニュース

【さくらももこさん死去】「ちびまる子ちゃんの街」静岡・清水 昭和の面影が消えても、小学生が駆け出してきそう

「ちびまる子ちゃん」に登場する商店街のイメージを形成している入江商店街=静岡市清水区入江(田中万紀撮影)
静岡市立清水入江小の校舎。さくらももこさんの母校で、「ちびまる子ちゃん」の舞台でもある(田中万紀撮影)
 「清水(静岡市清水区)」と聞いて、何が浮かぶだろうか。清水港、清水エスパルス、清水の次郎長…。いやいや、清水といえば「ちびまる子ちゃんの街」なのだ。作者のさくらももこさんが生まれ育ったのは、旧東海道沿いの清水区入江の商店街。東海道五十三次の江尻宿に始まる長い歴史を誇り、昔ながらの青果店、鮮魚店、和菓子店、生花店などが立ち並ぶ街並みは、頻繁に登場するレトロな商店街のモデルになったようだ。
(※昨年8月16日にアップされた記事を再掲載しています)
 「テレビアニメの放送が始まった頃は、全国各地からバスツアーで観光客がひっきりなしに訪れていた」と入江商店会の竹村顕一会長。「全ての物語がこの街から始まり、一筋にこの街が描かれている」
 昭和40~50年代から続く店は20軒ほど。漫画1巻から登場する駄菓子屋「みつや」。さくらさんの生家近くには、店名は異なるが本人がよく通った昔ながらの駄菓子屋があった。残念ながら今は閉店し跡形もない。近所の花屋「だるま屋」も、漫画に登場する花屋の原型とされる。店主は「さくらさんが昔から変わらず清水の街を愛してくれるのはありがたい」と目を細める。
 アニメに登場する「小池君」の父親、小池二三夫さん(78)は「旅先で『清水の入江から来た』というと『あぁ、ちびまる子ちゃんの街ね』とうなずかれる」「台湾や韓国、中国でもブームのようで、よく外国人観光客にまるちゃんのことを聞かれるよ」と声を弾ませた。
 商店街で呉服店を営む西田玲子さん(64)は「最近は外国人から『まるちゃんの小学校はどこ』と聞かれ、入江小まで送ったこともあるのよ」。清水市立入江小(現・静岡市立清水入江小)はさくらさんの母校で、ちびまる子ちゃんの舞台でもある。
 校舎はさくらさんが通った当時のままで、トンネルと滑り台が一体化した遊び場「もぐら山」から子供たちの声が響き渡る。ここ清水では、時代は変わっても放課後、日が落ちるまで遊び回っている子供の姿がある。
 まるちゃんが老若男女、国境を越えて人気を集めるは、現実と虚構のはざまの絶妙なリアリティーにあるのか…。「一昔前の子供たちの姿」「古き良き昭和の地方都市」という舞台設定だ。竹村会長は「フィクションではあるが、さくらさんのイメージの中にある“当時の清水”で物語が成り立っている。地元のことを描いているだけなのに、30年以上も続いているのはすごいこと」と感嘆する。
 まるちゃんの街を訪ねると、当時の風景は消えうせ、面影はほとんどない。それでも路地からは黄色い帽子をかぶった小学生が駆け出してきそうだし、くすんだ校舎の小学校や夏祭りのちょうちんが揺れる小さな神社には、何とも言えない郷愁を感じる。昭和にタイムスリップしたような懐かしさに浸りながらそぞろ歩くと、どこからともなく、まるちゃんやたまちゃんの元気な声が聞こえてきそうだ。(静岡支局 田中万紀)