斎藤茂吉が詠んだ湖、今世紀中に消滅の恐れ 土砂流入で 山形・白竜湖

 
 高台から望む白竜湖。湖面の大半を水草のヒシが覆っている=山形県南陽市

 日照りに悩む村で昔、雨を降らせるため竜神に嫁がせた娘が、白竜となり天に昇った-。そんな伝説が残る山形県南陽市赤湯の白竜湖。歌人、斎藤茂吉も歌に詠んだ湖だが、泥の堆積などにより数万年続いたとされる湖が、今世紀中に消滅する可能性が指摘されている。

 「沼の上にかぎろふ青き光よりわれの愁の来むと云ふかや」(歌集「赤光」)。かつては赤湯沼と呼ばれた白竜湖。母の危篤の知らせを受け帰郷する際、茂吉は湖を眺め不安な胸中を詠んだ。

 南陽市教育委員会の報告書によると、湖は最も深いところで水深約1メートルだが、白竜湖の水が循環する周囲の水田から泥が流入。流れ込んだ田んぼの肥料や近くの果樹園でまかれたリンなどを養分として水草のヒシが育ち、腐ったり枯れたりして湖底に沈殿する。

 報告書を書いた専門家は「繁殖を抑えるのは難しく、物理的に取り除く以外に対策はない」と指摘。このままでは湖の水深が毎年約1センチのペースで浅くなり、今世紀中にも消滅の恐れがある。

 しかし市は、白竜湖の生態系を保護するため人の手を加えるべきでないとの別の専門家の意見を重視し、ヒシの除去や浚(しゅん)渫(せつ)など対策に消極的だ。「白竜湖の自然を守る会」会長の平光敏さん(73)は湖を見つめ「白竜湖は赤湯の宝。できる限り延命させたい」ともどかしそうに語った。