ヒューリック杯棋聖戦1次予選 24日、夢の対局…強さの秘密 藤井七段、勝率8割超/里見女流四冠、対男性3連勝

マンスリー将棋
藤井聡太七段(左)と里見香奈女流四冠

 夢の対局まであと2日-。藤井聡太七段(16)と里見香奈女流四冠(26)=女流王座、女流名人、女流王将、倉敷藤花(くらしき・とうか)=が戦う将棋タイトル戦「第90期ヒューリック杯棋聖戦」(産経新聞社主催)1次予選2回戦(24日)。次々と記録を塗り替える最年少プロ、藤井七段にとって、女流棋士第一人者との対局は公式戦初だ。両者の強さに迫った。(田中夕介)

 藤井七段は今月11日、第4期叡王戦段位別予選七段戦で木下浩一・七段(50)に勝利、準決勝進出を決めた。今年度の公式戦成績15勝3敗、通算86勝15敗とし、いずれも勝率8割超をキープしている。

 「この2年で格段に強くなっている」

 こう話すのは、日本将棋連盟常務理事で先月20日、順位戦C級1組で藤井七段と対戦した森下卓(たく)九段(52)。「寄せの強さもあるが、それを発揮するための序盤、中盤の駆け引きもたけてきた。安定度も抜群に増した」

 対局は藤井七段が勝利。感想戦で、森下九段が「こう指したらどうします」と何度か尋ねると、藤井七段は瞬時に指し手を返してきたという。その正確さに森下九段は感心した。

 先月31日には史上最年少で公式戦100局に達した。対局を制し、勝率8割5分(85勝15敗)は中原誠(まこと)永世棋聖(70)と並んで1位を記録。終局後、藤井七段は「100局指して85勝できたのは出来過ぎな数字と思う。上位の先生とは力の差を感じることもあり、これからの課題かと思っている」と話した。

 その「力の差」を痛感した対局の一つが、昨年の棋王戦本戦で敗れた豊島(とよしま)将之棋聖(28)=当時八段=との対局。藤井七段は「内容も含めて力の差を一番実感した」と話していた。

 里見女流四冠は女流タイトル獲得通算31期=歴代2位。平成23年、女性初のプロ棋士を目指し、奨励会に入会した。三段リーグを5期挑戦したが昇段できず、26歳の年齢制限で今年3月に退会を余儀なくされた。6月には4連覇を目指した女流王位戦五番勝負に敗れて失冠し、女流四冠に後退した。

 しかし、同月18日の棋聖戦1次予選1回戦で村田智弘六段(37)に勝利。さらに、今月8日に行われた朝日杯将棋オープン戦の1次予選で増田裕司六段(47)、福崎文吾九段(58)を相次いで破り、対男性棋士3連勝のタイ記録に並んだ。後日、男性棋士との対局は敗れ、新記録はならなかった。

 最近の里見女流四冠について、森下九段は「タイトルの失冠が大きい。厳しい奨励会も退会し、のびのびと指すようになったのではないか」と指摘。藤井七段戦との戦型は「角交換振り飛車」と予想する。森下九段は「藤井七段は相居飛車では圧倒的な強さを持つが、振り飛車にはいくらか指しにくさを感じる。持ち時間が各1時間と早指しのため、藤井七段に油断するところがあると…」。

 三段リーグでの対戦は藤井七段の1勝。注目の公式戦初対局は大阪・関西将棋会館で、24日午前10時から始まる。