夏休みも深刻“小1の壁” 女性の活躍推進にも影… どう突破する? - 産経ニュース

夏休みも深刻“小1の壁” 女性の活躍推進にも影… どう突破する?

 子供が小学校に上がり、仕事と子育ての両立が難しくなる“小1の壁”に、働く親たちが直面している。小学生を放課後に預かる「学童保育」に空きがなかったり、閉所時間が短かったりして働き方の見直しを迫られるケースは多い。終日の預かりが必要となる夏休みには負担はさらに大きくなる。女性の活躍推進を阻む一因ともされる壁はどうしたら打破できるのか。(社会部 三宅陽子)
学童保育児童数、20年で3倍
 「仕事が思うようにできなくなる」。千葉市の会社員の女性(38)は今春、小学生になった長男の預け先に困った。保育園のときはフルタイムで働き、お迎えは夜8時ごろでよかった。だが、検討した公設の学童保育の利用時間は夜7時まで。勤務時間を短縮しなければならず、結局、夜9時まで利用できる民間の学童保育へ入所を決意。働き方は大きく変わらず、胸をなで下ろした。
 共働き世帯などの増加で学童保育の需要は現在、急速に高まっている。厚生労働省の調査によると、昨年5月1日時点の学童保育数は2万4573カ所で、登録児童数は117万人を超えて過去最高を記録した。登録児童数は約20年前の3倍ほどになる。
 問題も発生している。学童保育に入れない待機児童は約1万7000人にのぼり、地域によっては、小学2年になると通っていた学童から退所させられたといったケースも。
 公的な学童保育の多くは午後6時半以前に終わってしまうことも、働く親を悩ませる。夏休みには弁当が必要になるなど新たな負担も発生し、子供を終日預けなければならないことに戸惑いを感じる親も少なくない。
 母親たちからは「保育園の時はフルタイムで働けたのに、小学校からは時短勤務に変更した」「転職など働き方の検討をした」といった声も上がる。
英会話も、サービス充実
 働く親の負担や不安を取り除こうとの動きもある。
 東京都町田市では平成28年、保育園や幼稚園で小学生の一時預かりを始めた。実施施設の一つである「町田わかくさ保育園」では日々、小学1~6年まで10~15人ほどの利用がある。午後7時まで利用が可能で「卒園後も続けて利用したいとの希望が多く、保護者は保育園の時と大きく生活を変えずに働くことができる」と熊谷文代園長(71)。昨年から、卒園児以外の子供も受け入れている。
 学習塾などを運営する「明光ネットワークジャパン」は、都内を中心に学童保育「明光キッズ」を展開。本業のノウハウを生かしたサービスを提供しており、放課後は学習支援などのほか、プログラミングや英会話などの習い事ができるコースも用意されている。料金は週5回の預かりで「月約5万円から」だが、「放課後によりよい環境を与えたい」と願う親からの申し込みは多い。
 「働く世帯のニーズに合わせ今後もサービスを充実させていく」。同社キッズ事業部の荒谷智章氏(32)はそう語る。
「キャリアに深刻な影響」
 一方、小1の壁を乗り越えるには企業側の理解、支援は不可欠とも言われる。
 人材育成事業を手がける「スリール」が小学生の子供を持つ男女に行った調査(対象168人)では「小1の壁を乗り切る上で会社に行ってほしい」こととして、60%が「就業時間の柔軟性」と回答。次いで「職場での小1の壁の理解促進」(45%)「夏休み・春休みの補助」(44%)-などが続いた。
 同社代表で内閣府の男女共同参画に関する専門委員も務める堀江敦子氏は「小1の壁は、女性のキャリア形成に深刻な影響を及ぼしている」と指摘。「企業は(社員の)ライフステージごとの状況をよく理解し、子育てをしながら管理職ができる体制づくりをしていくことが重要だ。仕事と子育ての両立で直面する不安を払拭し、長期的にキャリアを見通せるようにしていくことも必要になる」と話している。