政治評論家・屋山太郎(5) 僕は「安倍1強」で構わない

話の肖像画
屋山太郎さん (酒巻俊介撮影)

 〈選挙制度審議会委員として衆院選での小選挙区制導入の旗振り役を務めた。決定から24年が経過し、武村正義元官房長官ら小選挙区制導入を公約に掲げていた政治家にも見直し論がくすぶる〉

 見直し論なんか聞く必要ないよ。今のままの小選挙区比例代表並立制を変える必要はない。そもそも政策、理念を同じくする党の仲間が同一選挙区で同士打ちをし、サービス合戦でカネを使うようになったことが金権政治に陥った源だ。中選挙区で国会議員を選んでいる主要国はない。中選挙区時代のような派閥の合従連衡では健全な政党政治は育たないし、政権交代も起きなかっただろう。

 〈今秋に自民党総裁選が控える〉

 批判じみた言い方で「安倍1強」というが、僕はそれで構わないと考えている。安倍晋三首相の進める日本外交の路線、とりわけ対中外交は世界の趨勢(すうせい)から考えても大事な流れを作っている。中国、韓国は体制もモラルも各国とは異なる、特殊な国だということを知らしめたことも評価できる。自民党は今の方針でまとまっていくべきだな。

 憲法改正の必要性や日米安全保障条約を分かっていない、無思想な政治家に首相は務まらない。将来的には小泉進次郎筆頭副幹事長も総裁選に名乗りを上げるだろうが、ポスト安倍候補にはまだ思想がない。安倍首相で固まるしか、選択肢はないよ。

 もちろん、自民党が永久政権というのもお国のためにはならない。しかし反対勢力もお粗末だ。昔の社会党のように対案も持たず、居丈高に批判のための批判のような追及を続けるなら、立憲民主党であろうが、どこであろうが理解は得られない。

 橋下徹さん(元大阪市長)が石原慎太郎氏(元東京都知事)と組んだりせず、日本維新の会から国政に転じていたら、維新は躍進し、今ごろ政権を取れる政党になっていたかもしれない。行政改革に熱心で成果も出しているだけに残念だ。維新のように、共産党と一線を画した政党が育たないといけない。

 〈憲法改正に向けた道程は見通せない〉

 安倍さんができなかったら永久にできないよ。ただ、改正を急ぐあまり国民投票で過半数の賛成が得られなければ内閣は退陣となる。時期尚早の勝負はしなくていい。今が改憲の最後のチャンスと国民が分かってくれば理解も深まるんじゃないだろうか。

 〈6月4日で86歳になった。眼光、舌鋒(ぜっぽう)ともに鋭い。現在も静岡新聞のコラム「論壇」で政治評論を続ける。毎週1回、休みはほとんどない〉

 おかげで脳の使い方が違うのかもしれないね。新聞を読むときも、人と話していても、問題はどこにあるのかとしょっちゅう脳を使っている。興味のある記事は、テーマ別の箱に仕分けをし、切り抜きを出し入れして題材を選ぶんだ。先日、箱を数えてみたら100を超えていた。ロシア関係の箱のラベルはずっと「ソ連」のままなんだけどね。

 健康の秘訣(ひけつ)といったって、強いていえば体重をこの30年間、60キロでキープしているぐらいだよ。61キロになったら即座に断食だ。体重が元に戻れば、また何でも好きなものを食べる。運動が大事だということは理解しているから、近所のコーヒーショップまで坂を下って7、8分散歩するけど、帰りは疲れちゃってタクシーに乗ってしまう。こっちはなかなか難しいもんだね。(聞き手 佐々木美恵)=次回は自民党副総裁の高村正彦さん