【話の肖像画】スポーツキャスター・女優 大林素子(5) 東京五輪開会式に「演技者」として - 産経ニュース

【話の肖像画】スポーツキャスター・女優 大林素子(5) 東京五輪開会式に「演技者」として

大林素子さん(萩原悠久人撮影)
 〈2年後に迫った東京五輪。ひそかな「夢」を持っている〉
 一つはもちろん、解説者として日本女子バレーの活躍を伝えることです。彼女たちが戦う「最高の瞬間」をしっかりとね。もう一つは表現者、演技者として開会式のセレモニーに出ることです。聖火ランナーになりたい、とか、君が代を歌ってみたい、じゃないんですよ。おそらく、開会式では日本の古代からの歴史を伝える出し物が行われる。「歴女(れきじょ)」の私としては、そこに出たい。サムライでも、その他大勢でも何でもいいんです。その中に入れば、私の大きな身長だって目立たないでしょ。
 実際に誰が開会式の演出を担当するのか? どんな方法でやるのか? それをつかんだときから私はアプローチを始めるつもりです。そして、表現者・演技者として選ばれるように、これからの2年間、芝居で結果を出さなきゃと思う。東京五輪を盛り上げるためのサポーターとして、できる限り、いろんな立場での応援もしてゆきますよ。
 〈昨年、50歳になった。少し「生き方」が変わったという〉
 「死」を意識するようになりましたね。もちろん、100歳までは生きるつもりなんですが、80代、90代になって今のような動きや仕事ができるか、って思うとそうではないでしょう。つまり、あと20、30年しか「時間」がないと思うと、先送りはできない。「今やるべきことは絶対に今日やる」「いつかやる、はダメ」。限りある残りの人生の中で、大切な時間を無駄にはできない、ってはっきりと思えるようになったのです。
 その一方で、無理はしない。若い頃に比べると、間違いなく体力は落ちています。徹夜はこたえるし、二日酔いもなかなか治らない。肌も衰えてくる。年を重ねるということをすごく感じるようになったのです。そう考えると、ご飯や飲み会に誘われてもきっぱりと断る。明日のために寝た方がいい。「断捨離(だんしゃり)」もやるし、付き合いが悪くなった、って言われますが、私にとっては、やるべきことの「優先順位」を決めたということなんですよ。
 結婚ですか? それを「女性の幸せ」ということには抵抗がありますね。結婚をその枠に入れてほしくない。それが女性の幸せかと問われたら、私の中にはないし、そうしたくくりでは考えない。結婚しなくても私は十分幸せですから。
 ただ一つだけ、子供が大好きなので、出産のチャンスについては「かなえられそうにない」という思いがあります。出産こそ、女性にしかできないことですからね…。
 〈バレーボールと芸能の世界。まったく違う人生を2つ分歩んできた〉
 うーん、自分というものを冷徹に見つめて、今置かれている立場を知り、たどり着きたい目標に向けて、やるべきことをやる。同じですよ。そうした意味で私はブレたことがありません。
 でも時代の違いは感じますよ。私たちのころにはアスリートをチームや協会が守ってくれた。今のアスリートは現役中からサービス精神旺盛にせざるを得なくて、少し軽く見られてしまっている気がします。競技に注力できるように守ってあげるのも、私の役目かもしれません。(聞き手 喜多由浩)