小池知事正念場 「千客万来施設」決着は…東京都・事業者条件合わず膠着

豊洲市場

 築地市場(東京都中央区)の移転先の豊洲市場(江東区)で観光拠点着工の見通しが立たない問題をめぐり、小池百合子知事が事業者に求めた事業実施の意思表示の回答期限が25日に迫った。築地再開発構想で関係が悪化した事業者と条件交渉を重ねたものの平行線が続き、江東区の反発を受ける中で決着に動いた格好だが、交渉決裂で事業者再公募となれば批判も予想され、小池氏は正念場を迎えている。

 当初予定は昨年1月の着工

 「できる限りの対応をしてきた。25日までに意思を明確にしていただくよう文書を渡した」。小池氏は20日の定例会見でこう切り出し、観光拠点「千客万来施設」の事業者「万葉倶楽部」(神奈川県)に対する強い姿勢をみせた。

 当初は昨年1月に着工し、今年8月から飲食店街などの商業ゾーン、温泉・ホテルゾーンの順に開業する計画だったが、小池氏の市場移転延期で凍結。さらに築地再開発構想で競合施設ができる懸念があるとし、同社は撤退を含む対応の検討を始めた。

 昨年12月に豊洲市場の今年10月開場が決定した際、江東区は千客万来施設整備が確実に行われることを前提に了承した。だが今月13日、万葉倶楽部の高橋弘会長が東京MXテレビの取材に応じ、都と万葉倶楽部の溝を浮き彫りにする発言が放送された。

 「(都から)『地代を半分にするからぜひ協力して』と言われれば聞く耳を持つ」。従来の取り決めでは、同社が支払う賃料は月額約720万円だった。都幹部は「半分なんてできるわけがない」と不満を漏らす。

 関係者によると、今年に入り、都と同社は実務レベルで条件交渉を本格化させた。都側はこれまでに同社の整備費軽減につながる計画の微修正を打診し、4月13日までの回答を要請。当時、都関係者は「できることはやった」と話したが、高橋会長が首を縦に振らずに膠着が続く。

 再公募も選択肢

 同社側は東京五輪・パラリンピックが開催される平成32年に向けて、温泉・ホテルゾーンを優先的に整備するプランを示したとされるが、江東区側は「あり得ない」と反発する。

 市場は早朝から車両が行き交い渋滞も懸念されるなど、地元に負担が伴うことは否めない。このため都は「築地市場の場外のにぎわいも継承する」として、千客万来施設整備を約束してきた。江東区関係者は「施設のコンセプトは温浴、ホテルがメインではない。築地場外の人たちに来てもらうことだ」と強調する。

 「この状況が続くなら、事業者再公募、開場延期も新たな展開の一つだ」。17日、山崎孝明区長は怒りをあらわにしながら、都に“決断”を求めた。

 市場移転が遅れれば、東京五輪の輸送路でもある環状2号線の整備スケジュールにも影響を及ぼしかねない。江東区内には大会の競技会場が複数あり、都幹部は「区が豊洲開場を本気で止めにくることはないはずだ」とみる。

 仮に万葉倶楽部との交渉が決裂し、再公募に踏み切る場合には築地再開発構想との両立が焦点となるが、再開発の具体像が見えるまでにはなお時間がかかりそうだ。