【話の肖像画】平昌パラアイスホッケー代表・上原大祐(4) パラスポーツは健常者にもできる - 産経ニュース

【話の肖像画】平昌パラアイスホッケー代表・上原大祐(4) パラスポーツは健常者にもできる

アメリカに武者修行(本人提供)
 〈米国へは2度、武者修行にでかけた。平成16~18年のシカゴ、24~25年にフィラデルフィアのチームでプレーしたときだ〉
 (北米のプロアイスホッケーリーグである)NHLに所属する米国のチームが、パラアイスホッケーのチームに資金援助や練習場所を提供しているケースもあります。協会には男子と女子のアイスホッケー、パラアイスホッケーの男子と女子が入っている。健常者と障害者の兄弟が同じチームでプレーしたり、親子でやっている場合もありましたね。
 試合数も多くて、1年間で日本の3、4年分はやるかな。企業などの支援活動もけた違い。ある会社が、「パラアイスホッケーのチームを10個つくれ」といって、ポンと大金を出しちゃうんですから。
 フィラデルフィアのチームにいたときは、僕のプレーを認めてくれて、ありがたいことに全米中のチームから「ウチに来ないか」と誘ってもらいました。本当はずっと米国でプレーしたかったのですが、当時いた会社を休職して米国へ来ていたことや経済面の問題もあり、やむを得ず帰国しました。
 日本の選手は、言葉の壁だとか、(日本代表として)一緒にいることがチームプレーだと勘違いしているようですが、そうじゃないと思う。2週間でもいいから、どんどん米国やカナダへ修業に行って、その練習環境を肌で感じ、自主的に強くなりたいという意識を持たないと、世界のレベルからますます離れていってしまいます。
 〈米国は、健常者と障害者が共生できる社会へ向けての市民の意識も高かった〉
 日本社会は、障害者に対してまだまだ見て見ぬフリが多い。「自分ごと」じゃなくて「ひとごと」なんですね。米国では、ごく自然にそうした行為ができるんですよ。車いすユーザーが階段の前にいたら、知らない人同士が声をかけて、すぐさまチームができる。何人かで車いすを持ち上げてくれるんです。子供でもサッとドアを押さえて待っていてくれる。そうした意識が浸透しています。
 日本は施設は立派でも意識面がまだまだ。体育館を新装したら、(床が傷むので)車いすバスケットはできないなんて言われることもありますからね。
 〈2年後の東京大会では「日本人の意識」も世界から問われる。オリンピックとパラリンピックを同等のイベントとして行うこともコンセプトの一つ。もちろん競技面の強化も、だ〉
 パラスポーツへのメディアの扱いは、昔に比べて格段に増えました。平昌大会では、地元韓国のメディアより日本の報道陣の方が多かったくらい。そうした面で日本は世界でもたけています。
 もっと言えば、パラアスリートを使ったテレビCMや、車いすユーザーがタレントとしてドラマに出たり、バラエティー番組の司会をやったり…そんなことがどんどん起こってほしい。パラアスリート自身も、もっともっとお客さんを増やすんだ、という意識をもってほしいです。
 「障害者」スポーツという言葉に接すると、たちまち健常者は「ひとごと」と感じてしまうでしょうが、パラスポーツは健常者にもできるんです。そのことを体験会やイベントを通じて発信していきたい。そして、「パラスポーツをやってみたら面白い、楽しい」と自然に感じられる文化が育てばいいですね。(聞き手 喜多由浩)