準決勝第1局(中)桑原、コウ仕掛け不発

第30期女流名人戦
桑原陽子六段(第30期女流名人戦準決勝、井澤秋乃四段戦

 黒 六段 桑原 陽子

 白 四段 井澤 秋乃

 【67~132】持ち時間各3時間

 先番(黒)6目半コミ出し

 「碁に負けて忍ぶ恋路や春の雨」(正岡子規)

 昨年生誕150年を迎えた子規がこのほど囲碁殿堂入りを果たし3月下旬、日本棋院東京本院地下にある囲碁殿堂資料館に、顕彰レリーフが展示された。21人目で、初めて文学者が選ばれた。

 子規は囲碁を題材とした俳句、漢詩、随筆などを多く残しており、その内容が評価された。子規は野球好きでも知られ、平成14年には野球殿堂入りしている。

 閑話休題。

 布石から積極的に仕掛けてペースをつかんだ桑原陽子六段(43)。しかし、前譜最終場面で手堅く優勢を築くチャンスを逸したため、井澤秋乃四段(39)の反撃を許すことになった。

 黒67のトビに対し、井澤四段の手が止まった。11分の考慮時間を使い白68のカケへ。白70ノゾキを一本利かしてから、再び慎重に9分費やし、白72ノビに戻った。

 左辺から中央へ向かっている黒石と白石とのせめぎ合いが、当面の課題だ。

 解説の楊嘉源九段は「白72で気合としては73に押さえたいが、黒72、白A、黒B、白75、黒Cツギで白がバラバラになります」と指摘した。

 この碁に必勝を期す桑原六段は黒83に本局最長考の20分を投じ、黒89まで白一団を厳しく追及する。

 剛腕で鳴らす桑原六段らしい打ち方だが、解説者は「黒89では黒D、白92、黒E、白99、黒102、白103、黒F、白G、黒Hが実戦的」と提案した。黒79をおとりにして局面を単純化する、柔軟な作戦である。白は黒79の動き出しが気になるので、もし白が黒79を制すれば、黒は代わりに上辺から右上隅の黒地をまとめ、地合でリードできる。

 黒115は勝負手。

 「白120では参考図、白1のコウダテが簡明。以下白5のフリカワリで白勝ち」と楊九段。黒は仕掛けたコウには勝ったものの、黒115、121、123と3手を要しており、井澤四段はこの間、白122から130までうまく立ち回って、白の面白い形勢へ持ち込んだ。(伊藤誠)

 【棋譜欄外】119コウ取る(116の上)、121同(82の上)

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