準決勝第1局(上)もがく井澤に活路

第30期女流名人戦
井澤秋乃四段

 黒 六段 桑原 陽子

 白 四段 井澤 秋乃

 【1~66】持ち時間各3時間

 先番(黒)6目半コミ出し

 昨年11月13日、日本棋院東京本院の7階特別対局室で打たれた準決勝。対局の設定が少ない月曜日とあって、通常対局はこの桑原陽子六段(43)-井澤秋乃四段(39)戦のみ。しんとした雰囲気の中、スタートした。ただし隣の広い洋間では、井山裕太七冠が世界一を目指してLG杯準々決勝を戦っている。こちらは朝早くから関係者や報道陣が詰めかけていて、ものものしい。

 桑原六段は本戦1回戦で吉田美香八段、2回戦で謝依旻(しぇい・いみん)女流棋聖(当時)を下し準決勝へ勝ち上がってきた。特に挑戦者候補大本命の謝女流棋聖を打ち取ったのはお見事。意気揚々の気迫が、盤側まで伝わってくる。

 一方の井澤四段は、田口美星初段、小西和子八段の関西棋院勢を連破。初のタイトル戦出場を狙って、静かに闘志を燃やしている。

 対戦成績は桑原六段の3勝1敗。平成18年の女流本因坊本戦1回戦で桑原が勝利して以来、11年ぶりの対決だ。

 穏やかな立ち上がりの碁が一転動いたのは、左辺白18の打ち込みから。力戦派で知られる桑原六段にとって、願っていた展開だ。

 「黒25では28、白A、黒25、白26、黒B、白30、黒Cなら普通ですが…」と解説の楊嘉源九段。黒は27、29と積極的に仕掛けていく。

 白34の突き当たりは井澤四段の工夫した手だが、結果的にはうまくいかなかった。

 解説者は「白34は36ハネで白に不満はありません。黒42なら白37で、次に黒が切った方(D、E)を取る要領です」と指摘。なお黒42で37ノビの変化には、白40、黒48、白42、黒F、白D、黒G、白47で白がやれそうだ。

 黒55キリで昼食休憩に入った。再開後、桑原六段は黒59アテから65ツギまでビシビシ決めて気持ちよさそうだったが、楊九段は異を唱えた。「黒59では参考図、黒1が冷静でしたね。以下黒5まで黒には弱い石がなくなり、はっきり優勢です」

 白66のツギに手をまわし、井澤四段はやる気を起こしたようだ。(伊藤誠)

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