受動喫煙対策 「客足に影響」「改装経費もかさむ」…困惑の飲食店も

 
喫煙ルームが設けられている居酒屋=30日午後、東京・銀座の「炉ばたや 銀政」(松本健吾撮影)

 健康増進法改正案の骨子は、当初案に比べ喫煙可能範囲が広がった。例外となる店舗の詳細は今後の議論を待つ必要がありそうだが、改装を求められる飲食店の負担は大きい。喫煙者と非喫煙者の相反する要望に応えなければならない飲食店の関係者からは、困惑の声が上がった。

 「客足に影響が出るのではないか」。1階と2階合わせて62席を全席喫煙可能で営業しているという仙台市宮城野区の「居酒屋ごいち」の店長、山谷拓郎さん(29)は頭を抱える。

 「メーンのお客さんは30~60代のサラリーマン。ほぼ喫煙者で席の数よりも灰皿を多くしている」。店舗面積はちょうど150平方メートルほどで、対策が必要になる可能性もある。「喫煙スペース分の席数を減らさなければならず、現実的ではない。『たばこを何とかして』と苦情を受けることもあるが、居酒屋である以上、配慮にも限界がある」

 埼玉県小鹿野町にある日本料理屋「和らく」も店舗面積44坪(約145平方メートル)と微妙な大きさだが、「時代の流れを受けて昨夏から外に喫煙所を作り、店内では吸えないようにした。煙を嫌がる人もいるので(法案にかかわらず)店内は禁煙にする」と店長の高根高也さん(55)。千葉県銚子市の和食料理店「越中屋」店主の長井滋さん(77)は「規制対象になれば禁煙にする考えだが、宴会場は目が届かないので徹底できるか難しい」と実効性を疑問視した。

 危機感は大手飲食店も同様だ。首都圏を中心に展開する喫茶店の運営会社は「法案が成立すれば多大な影響を受ける」と語る。

 同社では各店で禁煙席と喫煙席を分けるエリア分煙も実施。近年は一部で自動ドアを設置して席を分ける分煙にも乗り出しているが、骨子では喫煙室で飲食ができないとされた。担当者は「法案が成立すれば新たな改装も必要になるだろう。客足に影響が出るだけでなく経費もかさむとなれば、まさにダブルパンチだ」と嘆く。

 一方、すでに対策を進めている企業も少なくない。全国でコーヒー店を展開する飲食チェーンでは数年前から各店舗で分煙のための改装を行っており、すでに全店舗中6~7割で完全分煙が完了、全面禁煙店も誕生した。担当者は「たばこを吸われる方も、そうでない方もご利用いただける店づくりを進めてきた。法改正が決まれば、それに対応していくだけ」と話した。