マンション隣人のベランダ喫煙にNO! 被害者の会が結成 住宅での受動喫煙規制を求める

 
東京都内で開かれた「無煙社会をめざす定例会」の参加者

 マンションなどで隣人が吸うたばこの受動喫煙に悩む人たちが被害者の会を結成し、声を上げ始めた。家族に煙を吸わせたくないと、ベランダで喫煙した結果、隣の居室に煙が入り込んでしまうためだ。体調が悪化して日常生活に支障が出る人もいるが、近所付き合いを考えて、泣き寝入りする人も多い。店舗だけでなく、住宅地でも法規制が必要との指摘もある。

 動かぬマンション組合

 東京都内に住む田中誠さん(51)=仮名=の家族は、平成27年に新築のタワーマンションに越してきて以来、隣人の喫煙に悩まされている。ベランダ禁煙になっているにもかかわらず、ベランダの仕切りからのぞくと、大量の吸い殻が見えた。窓を開けると、部屋ににおいが入り込む。妻(53)は頭痛や吐き気などの症状が出て、病院でたばこによる「受動喫煙症」と診断された。

 管理組合を通じ掲示板などで注意喚起したが、ベランダで吸っているかどうかがはっきりせず、組合はなかなか動いてくれない。「健康を考えると引っ越すしかないが、その先でも大丈夫という保証はない」とこぼす。

 会員は1500人

 昨年9月に都内で開かれた「無煙社会をめざす定例会」に参加した男性(43)は隣人のたばこで頭痛がひどく、ネットカフェに避難したことがある。都内の女性医師(48)も向かいの部屋から入ってくる煙で息苦しく、せき込むなどぜんそく手前の症状が出始めたという。

 こうした被害に苦しむ人たちが、昨年5月、「近隣住宅受動喫煙被害者の会」を設立。住宅での受動喫煙規制を求める活動を続けている。会員は約1500人。会員は「店なら出て行けばいいが、家では逃げようがない。遠慮してなかなか言えず苦しんでいる人が多い」と切実さを訴える。

 厚生労働省の28年の調査では、喫煙者の割合は18・3%で年々減少。しかし、国立がん研究センターによると、受動喫煙を原因にした肺がんや心筋梗塞などで亡くなる人は1年間に推計で1万5千人に上る。日本禁煙学会の作田学理事長は「加熱式たばこなど煙がなくても、有害物質が空気中に残ることはあり、煙やにおいだけでは判断できない」と指摘する。禁煙の賃貸マンションは増えているが、分譲では少ないと作田氏。「住居が狭く、一軒家でも隣と近い日本独特の問題とも言えるが、国は個人の住宅の中まで規制できず、対策は進まない」

 現実的な解決策は禁煙マンション

 こうした中、東京都では昨年10月に子供を受動喫煙から守る条例が成立、問題意識は高まった。ただ、室内での喫煙を避けようとベランダ喫煙が増えるのではという懸念もある。

 「家も外もだめならどこで吸えばいいのか」といった声も聞かれるが、受動喫煙問題に詳しい片山律弁護士は「禁煙のマンションを増やし、特定の喫煙場所をつくることが現実的な解決策」と提案する。「たばこは被害を受ける人がいるという意味で単なる嗜好(しこう)品ではない。場所を問わず受動喫煙の禁止を定める法制化が必要」と話した。