義足で走り出す一歩に 東京・豊洲に試着施設 パラ目指す選手も輩出

 
「ギソクの図書館」で競技用義足に履き替える山下千絵さん=東京都江東区

 競技用義足を試着できる「ギソクの図書館」が10月、東京都江東区豊洲に誕生した。カーボン製の競技用義足は1本50万円前後と高価で、購入は簡単ではない。脚を失った人たちに走るための一歩を踏み出してもらおうとの試みで、利用者から2020年東京パラリンピックを目指す選手も出てきた。

 豊洲のスポーツ施設内にある「図書館」には、壁一面に「板ばね」と呼ばれる競技用義足が大人用から子供用まで25本ほど並んでいる。義足の試着料金は1回500円。試走ができるトラックもある。義足開発ベンチャー「サイボーグ」の遠藤謙社長や、パラ陸上の佐藤圭太選手らがクラウドファンディングで資金を募り、約1750万円集まった。

 競技用義足の購入には保険が適用されない。また、体格に合わせて買い替えなければならず、成長期の子供などの場合は負担が大きい。このため、「本を借りるように気軽にレンタルして、走る喜びを感じてもらえたらうれしい」とサイボーグ社の井上友綱執行役。こうしたサービスはほかに例がなく、全国各地へ出向く「移動図書館」も考えているという。

 利用者の一人、法政大2年の山下千絵さん(20)=川崎市=は「すごく軽くて跳べる。風を感じて自分の足で走っているようで、楽しい」と話す。幼い頃からスポーツが好きで、10歳の時に交通事故で左脚を失った後も日常用の義足でテニスをしていたが、壊れてしまうこともあったという。

 「競技用はそう簡単に買えないので、図書館の存在は大きい」と山下さん。心に秘めていた「速く走りたい」との思いが強まり、本格的に陸上の練習を開始。20年大会への出場を目指している。