平成…両陛下“重ねた旅” 慰霊・復興に心寄せられ

天皇陛下譲位

 天皇陛下は昭和64年1月7日の即位以降、困難に直面した国民のもとを幾度となくご訪問。先の大戦の激戦地で、自然災害で被害を受けた被災地で、人々を慰め、祈りをささげられてきた。「最後の日々」も東日本大震災の被災地や、戦没者慰霊を目的とした地方ご訪問が検討される。陛下が象徴天皇として、皇后さまとともに歩まれた年月は「国民とともに」を体現されてきた旅の歴史でもある。

 即位後間もない平成3年7月、天皇、皇后両陛下は長崎県の雲仙・普賢岳噴火の被災者を見舞われた。火砕流発生からわずか1カ月。避難所で床に膝をつき、被災者に慰めの言葉をかけられるスタイルは、このときの訪問が原点となった。

 7年1月の阪神大震災、16年10月の新潟県中越地震など、大きな震災後の被災地には、常に両陛下のお姿があった。23年3月の東日本大震災では、発生5日後に被災者を勇気づける異例のビデオメッセージをご公表。現地の救援活動などに配慮して東京都内の避難所から始め、7週連続で被災者を見舞われた。

 両陛下は先の大戦の戦没者とその遺族にも、心を寄せられてきた。5年4月には歴代天皇として初めて沖縄県をご訪問。6年2月には硫黄島など小笠原諸島、戦後50年の7年には広島・長崎の両被爆地、沖縄県を歴訪された。慰霊の旅は、17年のサイパン島、27年のパラオ、28年のフィリピンなど海外にも広がった。

 陛下の譲位が31年4月30日となったことで、両陛下にとって来年5月以降の行事は平成の締めくくりとして臨まれることになる。両陛下がそろって開会式に臨席されてきた全国植樹祭は6月、東日本大震災の被災地、福島県南相馬市で開催。植樹祭では、皇居内で採取した種から成長したエノキが「復興の象徴」として植樹される。福島では、震災の復興状況ご視察が検討される。

 陛下は皇太子時代「記憶しなければならない」日として沖縄戦終結の6月23日、8月6日と9日の広島、長崎の原爆の日、15日の終戦の日を挙げられた。最後の日々も「何らかの形で『慰霊の地』を訪問される可能性は高い」(宮内庁関係者)という。