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排気量至上主義はやめよう--E200ステーションワゴンスポーツ試乗記

(C)Sho Tamura
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 メルセデス・ベンツ「Eクラス」のステーションワゴンに小川フミオが試乗した。1.5リッターとは思えぬパワフルな走りとは?

【主要諸元】全長×全幅×全高=4955×1850×1465mm、ホイールベース2940mm、車両重量1830kg、乗車定員5名、エンジン1496cc直列4気筒ターボ(184ps/5800~6100rpm、280Nm/3000~4000rpm)、9AT、駆動方式RWD、タイヤサイズ(フロント)245/40R19(リア)275/35R19、価格810万円(OP含まず)。(C)Sho Tamura
【主要諸元】全長×全幅×全高=4955×1850×1465mm、ホイールベース2940mm、車両重量1830kg、乗車定員5名、エンジン1496cc直列4気筒ターボ(184ps/5800~6100rpm、280Nm/3000~4000rpm)、9AT、駆動方式RWD、タイヤサイズ(フロント)245/40R19(リア)275/35R19、価格810万円(OP含まず)。(C)Sho Tamura
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排気量はなんの尺度にもならない

 メルセデス・ベンツEクラスがマイナーチェンジを受け、2020年9月10日に発表された。スタイリングと内装の一部が変更されるとともに、装備もアップグレード。そのなかで「E200ステーションワゴン・スポーツ」に乗った。信じられないことに、1.5リッターなのだ。

搭載するエンジンは1496cc直列4気筒ターボ(184ps/5800~6100rpm、280Nm/3000~4000rpm)。モーター兼発電機のBSGを組み合わせる。(C)Sho Tamura
搭載するエンジンは1496cc直列4気筒ターボ(184ps/5800~6100rpm、280Nm/3000~4000rpm)。モーター兼発電機のBSGを組み合わせる。(C)Sho Tamura
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 従来の尺度からすると、1.5リッターで、全長5mちかいボディを走らせるなんて無謀では? と、思いがちだ。1960年代のフランス車はそうだった。ル・マン24時間レースでは、絶対速度はともかく、燃費にすぐれたため「性能指数賞」を獲得するのは、小さなエンジンのフランス製スポーツカーが多かったものだ。

 ところが加速になると、小さなエンジンのクルマはかなり分が悪い。空力の助けを借りながら、ゆっくりと速度が上がっていくのに、焦らずつきあう必要があった。

エントリーグレードのスポーツでも、アルミホイールはAMGデザインが標準。(C)Sho Tamura
エントリーグレードのスポーツでも、アルミホイールはAMGデザインが標準。(C)Sho Tamura
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 Eクラスは、ところが、走りがいい。メルセデス・ベンツが手がけるステーションワゴンのなかで頂点に位置づけられるだけある。1.5リッターだろうが、けっして非力とは感じさせない。E200に乗ると、すいすいと気持ちよく走る。排気量はなんの尺度にもならない。まったく新しい時代のクルマなのだ。

 エンジンは1496ccの直列4気筒ガソリン。ターボチャージャーと、それにBSG(ベルトドリブン・スタータージェネレーター)を備える。力強い走りは、この新世代のパワープラントの恩恵によるものだ。

 エンジントルクが不足ぎみになる1500rpm以下での加速では、電気モーターがベルトを介して駆動軸にトルクを足す。モーターとバッテリーはあえて出力を抑え、小型で軽量。基本はエンジン車であるものの、足りないところを電気の力が補うのが、BSGの考えかただ。

新型Eクラスは、インフォテインメントシステムなどをアップデート。ステアリング・ホイールもデザインが一新された。(C)Sho Tamura
新型Eクラスは、インフォテインメントシステムなどをアップデート。ステアリング・ホイールもデザインが一新された。(C)Sho Tamura
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“日常の足”に最適

 E200はまさに期待どおりの出来なのだ。静止からスタートするときに1830kgの車重を意識させることはない。加速も、アクセルペダルを床まで踏むような急加速をするのでなければ、もたもたする印象は皆無である。

 ドイツのいわゆる御三家(あとはBMWとアウディ)は、余裕あるサイズのステーションワゴンを出している。どれも全長4.9mぐらい。おもしろいのは、パワープラントに対する考えかたのちがいだ。

試乗車はAMGラインインテリアパッケージ付き(52万5000円)。シート表皮はナッパレザーになる。(C)Sho Tamura
試乗車はAMGラインインテリアパッケージ付き(52万5000円)。シート表皮はナッパレザーになる。(C)Sho Tamura
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 ここで書いているように、メルセデス・ベンツはかなり小さな排気量のエンジンやプラグ・イン・ハイブリッドをうまく使う。BMWの「5シリーズ・ツーリング」は、ベーシックモデルが2.0リッターガソリンだ。アウディ「A6アバント」は、いま2.0リッターディーゼルが中核モデルで、どちらかというとエンジンパワーを楽しませるキャラクターだ。

 Eクラスのステーションワゴンに興味を持つひとは、荷物をたくさん積んで遠出、というような機能を重視するだろう。長い距離の移動には、剛性感の高いボディと、重めの設定のステアリングホイールによる安定性の高さが、頼もしく感じられるはずだ。

リアシートのバックレストは40:20:40分割可倒式。(C)Sho Tamura
リアシートのバックレストは40:20:40分割可倒式。(C)Sho Tamura
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 燃費は、リッターあたり12.7km(WLTC)と発表されている。ボディサイズや、エンジンによる気持ちよい加速性などを考慮しても、けっして悪くない数字だ。

 ふだん乗るのに、かなり良い。燃費にすぐれ、ややソフトなセッティングのスプリングを使ったサスペンションシステムによるやわらかめのやさしい乗り心地、それに使い勝手のいい動力性能ゆえだ。乗っているうちに、自分になじんでくるのがわかる。別の言い方をすれば(端的にいえば、)好きになる。

最小回転半径は5.4m。(C)Sho Tamura
最小回転半径は5.4m。(C)Sho Tamura
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価値あるE200

 今回から、MBUX(「ハイ、メルセデス」で起動する対話型のコマンドをもつインフォテインメントシステム)に、指によるジェスチャーによって、プリセットしておいたコマンドが起動する機能も追加された。

 たとえば、指のVサインをセンターコンソールにさっとかざすと、ナビゲーション・システムに登録しておいた自宅への案内が起動する、といったぐあいだ。この動作、なかなかカッコいい。

パノラミックスライディングルーフは22万8000円のオプション。フロントシートは電動開閉式、リアシート上部は固定のガラスルーフになる。(C)Sho Tamura
パノラミックスライディングルーフは22万8000円のオプション。フロントシートは電動開閉式、リアシート上部は固定のガラスルーフになる。(C)Sho Tamura
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 ナビゲーションシステムも機能が拡充された。とりわけ「日本で販売される乗用車で初」と、メルセデス・ベンツ日本がうたう「AR(拡張現実)ナビゲーション」は、モニターに前方の景色が映し出され、そのなかに進むべき方向を示す矢印が追加されるのだ。「直感的にどの道路に進むべきかを判断することができ」るという。

ナビゲーションシステムは、日本で販売される乗用車としては初のAR(Augmented Reality = 拡張現実 )機能を搭載した。従来、目的地を設定して行先案内をする場合、地図上に進むべき道路が表示されたが、新型Eクラスでは、それにくわえて、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、進むべき方向に矢印が表示される。(C)Sho Tamura
ナビゲーションシステムは、日本で販売される乗用車としては初のAR(Augmented Reality = 拡張現実 )機能を搭載した。従来、目的地を設定して行先案内をする場合、地図上に進むべき道路が表示されたが、新型Eクラスでは、それにくわえて、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、進むべき方向に矢印が表示される。(C)Sho Tamura
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 今回は複雑なコースを通らなかったので、本当にこの機能に助けられることはなかった。でも、ふだん使っていると、便利に思う場面が出てきそうだ。私はよく、複雑な交差点でナビゲーションシステムの指示を誤って受け取るので、もっとも恩恵を受ける人間のひとりになるかもしれない。

 試乗したE200ステーションワゴン・スポーツの価格は810万円。「1.5リッターで800万円超!?」と、排気量至上主義の旧世代は驚くかもしれない。でも、従来の”常識”を捨てれば、乗り味がよくて便利な装備を豊富に備えたこのクルマがもたらしてくれる多くの恩恵に浴することが出来るのである。

 文・小川フミオ 写真・田村翔

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