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お金はなんとかなる

 世界最大の時計売買のプラットフォームであるChrono24には、面白いデータが残っている。たとえばイタリア。国全体が完全にロックアウトされて以降、オンラインでの売り上げは急速に回復したのである。この状況は他国も同じで、もっとも深刻な状況にあって、むしろ売り上げは反転した。旧知の時計好きはこう語った。「景気が悪くなると、価値のある時計を買いやすくなる」。金もないのにどうするのだと尋ねたところ、なんとも勇ましい答が返ってきた。「お金はなんとかなる」。結果、面白そうな時計は、急速に市場から減りつつある。

 こういったマインドは、富裕層も同じであるようだ。金価格の高騰を見た彼ら、彼女らは金時計を買うようになり、ポートフォリオを分散させるべく、高級時計も組み込むようになった。事実、コロナ禍の影響にもかかわらず、オークションにおける超高級時計の落札金額は、前と変わらないどころか、ものによっては以前を上回るようになった。落札金額だけを見れば、コロナ禍の影響はどこにあったのか、という印象だ。

 では今後、時計業界はどうなっていくのか。仮に今回の打撃を、1929年の大恐慌並みと考えれば、回復には短くても5年を要するだろう。しかし、大恐慌の時と違って、今の時計産業には、多くのファンがいる。もちろん離れる人もいるだろうが、新興市場のファンの買いっぷりを見ていると、意外に回復は早いのではないか、という予感を筆者はもっている。これからの5年、各メーカーは売り上げの回復を目指すべく、いっそう時計好きにフォーカスした新製品を発表するに違いないし、すでに事実そうなっている。それは非常にうれしいことだが、ひとつだけ大きな問題がある。魅力的なモデルが山のように出た場合、どうやってお金を工面すべきか、だ。もちろん答は決まっている。「お金はなんとかなる」、だ。

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Masayuki Hirota

 1974年、大阪府生まれ。時計ジャーナリスト。『クロノス日本版』編集長。大学卒業後、サラリーマンなどを経て2005年から現職に。国内外の時計専門誌・一般誌などに執筆多数。時計メーカーや販売店向けなどにも講演を数多く行う。ドイツの時計賞『ウォッチスターズ』審査員でもある。

Words 広田雅将 Masayuki HirotA

Illustration 室木おすし Osushi MurokI

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