売れ線モデル、いよいよ上陸! アウディ A6 45 TFSIクワトロ スポーツ 試乗記
機能部品とデザインの調和
今回の試乗車はガソリンターボ エンジンを搭載する「45 TFSIクワトロ スポーツ」で、スポーツサスペンションとレザースポーツシートが標準装着されて車両本体価格は799万円(消費税込み)。「S lineパッケージ」をはじめとする5種のパッケージを含め、220万円のオプションが盛り込まれて総額としては1000万円を超える。
長いホイールベースにアーチ状のルーフラインと高く採ったウエストライン、そして大きめのホイールリムを組み合わせたシルエットは、この3世代ほどアウディA6に受け継がれている。基本形を変えないままトレンドに沿ったディテールを盛り込んで、しっかりモダンに見せているのはプレミアムブランドならではだ。

ドライバーズシートに座ってサイドミラーを覗くと、リアフェンダーの上にシャープな峰が走っており、かつて“ビッグ クワトロ”に親しんだ身としては嬉しくなってしまう。こうした細工も含め、ボディパネルやデコレーションの工作精度はとても高い。
アルミもしくはアルミ調パネルを多用したインテリアも、マットな風合いのレザーとほどよくコーディネートされている。センターコンソールに2枚のタッチスクリーンからなる「MMIタッチレスポンス」、メーターパネルとして備わる「アウディ バーチャルコックピット」も含め、さまざまな機能部品の素材とデザインのバランスをうまくとる点で、アウディは数あるプレミアムブランドのなかでも一歩先を進んでいる。

ボディサイズも15年前からほとんど変わっていないが、感心するのは車両重量も1.8t弱を保ち続けていることだ。安全装備や自動運転支援システムが充実するのと並行して電子システムの重量が増えていくなかで、アルミ等軽量素材の積極採用やエンジンのダウンサイジングなどでそれを相殺する努力をたゆみなく続けている。
調べてみたところアウディに限らず他のプレミアムブランドも、このセグメントでは軽量化に勤しんでいて、全長5mクラスでも1.7t前後に収まっていることが判った。
2.0リッターでも高級車らしさは健在
今回の試乗で注目したのは、“4気筒エンジンが800万円近いアウディA6に相応しいのかどうか”だ。6気筒以上のマルチシリンダーは、振動やサウンドの面では優れているので昔から高級車に好まれた反面、摩擦抵抗が大きいため燃費低減が難しく、最近はこのセグメントでも上級グレードに限って搭載されている。
A6 45 TFSIクワトロが搭載する2.0リッター直列4気筒ユニットには、今回初めて12Vのマイルド ハイブリッド システムがくわわり、エンジンスターターや発電機を兼ねるモーターが発進時に短時間、2kW/60Nmと微力であるもののエンジンを助けてくれる。

ガソリン微粒子フィルターの装着など連綿と進化しつつも、基本設計としてはデュアルクラッチ式7段Sトロニック トランスミッションとともに10年以上使われ続けているエンジンで、筆者が10年ほど前、2年にわたり走らせた「A4 2.0 TFSIクワトロ」とベースはおなじである。