GSトロフィーへの出場権をかけた女性ライダーたちの戦い
本戦への挑戦権をかけての3日間の戦い
20カ国以上から集まったライダーは24歳から62歳の総勢31名。日本からも国内の選考会を突破した水谷あいさん、吉田美恵子さんが参加した。初日はレジストレーション等、多くのペーパーワークとウェルカムパーティ。抽選によりF850GSが貸与され、3日間の戦いに向けた準備をおこないホテルで就寝。しかし翌朝からの3日間は、もうGSトロフィー本番さながら。もちろんテントでのキャンプ生活である。

BMW専用のオフロード施設やエンデューロパーク・アンダルシアに設定された特設コースと、近隣のオフロードを舞台に、10種目以上の競技が行われた。バイクに乗っての純粋なるライディングテクニックで争う競技もあるが、崖を駆け上がったり、走り回ったり、耐久レースさながらのホイールの着脱など、バイクにまったく乗ることのない競技も少なくない。中にはロデオマシンに乗ったりする競技も……。他のライダーとのコミュニケーション能力も含め、GS乗りに相応しいスキルについてのユニークな考えに基づいている。

プログラムは朝から夕方までみっちり。さらにその競技は女性用に過酷さを抑えたものともなってもいない。これは本戦に行った時に苦労しないためでもあるそうだ。
1日の競技が終わり、クタクタでキャンプ地に戻れば、休む暇なく夕食。そして当日の結果発表。そこでまた一盛り上がり。「女性にこれはちょっとハード過ぎないかぁ?」と心配になるほどのタフさであるが「インターナショナルの切符がかかってるんだから、そりゃあある程度はハードでもしかたないだろ?」と主催者の1人。確かにここまでの移動費はもちろんのこと、現地での宿泊代や食事代等、すべてがBMWの支払いだし、その後インターナショナル大会に進めば、これまたすべてがBMWによって用意される。それくらい頑張って勝ち取る資格なのである。

最終的に3日間の熱き戦いを終え、6名、2チームの本戦行きが決定した。残念ながら日本からの2選手は本戦に進むことは出来なかった。内容がエキサイティングで特別だったことから「ここに来れただけで満足」と感じる選手も多かったようだ。

GSを所有したことで人生が変わったと言う人は少なくない。人生に刺激を求める人にこそ選んでほしいバイク、世界である。

文・鈴木大五朗 写真・BMW MOTORRAD 編集・iconiC