もう地味とは言わせない! 新型ボルボS60海外試乗記


インテリアに目を転じると、新世代ボルボ車が例外なくそうであるように、シンプルな構成でありながらも品質感がたかくい。クリーンでやさしい北欧テイストたっぷりである。
S60は、エクステリアにしてもインテリアにしても、“見た目で購入意欲をそそられるセダン”なのだ。





試乗会場がアメリカのワケ
S60の国際試乗会は、カリフォルニア州は太平洋に面したリゾート地、サンタモニカをベースに開催された。
ちなみに、新型S60は、ボルボ・ブランド初の”米国工場生産車”だ。

試乗車のグレードはガソリン・エンジン仕様の「T6 AWD Rデザイン」とプラグ・イン・ハイブリッド仕様の「T8 ポールスターエンジニアード」の2タイプ。ちなみに、これまであったディーゼル・エンジンは設定そのものがないという。
T8 ポールスターエンジニアードは、オーリンズ製のダンパーやブレンボ製のフロントブレーキなどを採用し、かつ独自のチューニングを施したエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルだ。20インチの専用デザイン・ホイールを装着したブラックのボディは、迫力満点だった。

想像以上に電気で走る!
早速、T8 ポールスターエンジニアードに乗り込んだ。
アクセルをゆっくり踏むと、ほぼ無音の状態で発進した。駆動用バッテリーの充電状態に余裕があれば、日常的な緩加速シーンの駆動力を担うのは、後輪を駆動するモーターのみなのだ。

後輪用モーターの最高出力は88ps相当だから、アクセルを深く踏み込まない限り、エンジンの出番はない。
EV走行状態を可能な限り持続する走行モードの「ピュア」をセレクトすると、電気の力のみで走行可能な最高速度が約70km/hから約120km/hに引き上げられる。ゆえに、バッテリーの充電状態が許す限り、エンジンの出番はなかなかない。

一方、より力強い動力性能を望むなら、はじめからエンジンも併用する走行モード「ダイナミック」をセレクトすればよい。
すると、V型8気筒エンジンのような重低音の効いたサウンドが聞こえてくる(電子的なチューニングも施されているようだ)。音を楽しみつつワインディング・ロードを走ったが、文句ナシのパワフルさが印象的だった。
搭載するガソリン・エンジンの排気量はわずか2.0リッターであるが、ターボとスーパーチャージャーの過給によって、モーターを含む総出力は415psに達する。”スポーツセダン”の名に恥じない。