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なぜ津田大介は炎上するのか?

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 2017年11月13日にNHKで放送された「クローズアップ現代+」では、日本の上位まとめサイトの管理人が出演し、月間広告収入が700万円に及ぶことが明かされた。この収入で彼は11人のスタッフを雇い、日々サイトを更新しているという。マケドニアのフェイクニュース運営者と手にする収入がほぼ同じなのも偶然ではないだろう。情報を歪めてアクセスを稼ぎ、広告収入を得ることを「業務」にしている人間は日本にも存在するということだ。むしろ、大手のまとめサイトは、ほとんどがそうした「業者」である可能性が高い。

 いかがだろうか。ネットは確かに不特定多数の多様な人たちとコミュニケーションが取れる素晴らしいツールだ。しかし、現在のネットは世論への影響力が増大した結果、世論工作と金目当てで炎上させる業者の草刈り場となってしまっている。彼らは政治的あるいは金銭的な目的を達成するため、炎上を利用しているに過ぎない。そんな彼らに、真正面から「反論」することにどれだけの意味があるのか。

 炎上も日常化して慣れてしまえば、サウナみたいなものだ。いま言論人に求められているのは、日常的に接している「ネット世論」が組織的もしくは金銭的に著しく歪められているという事実を認識した上で、炎上を気にせず淡々と自身の意見を表明し続ける鈍感力を持つことであろう。その意味で、本誌のような紙媒体の役割も今後は重要になってくる。炎上が怖くてネットでは意見表明できない繊細な表現者たちをサポートできるのは、紙媒体だけだからだ。雑誌こそが多様な意見を世の中に送り出す存在の中心になり、ネット世論を真に受けない読者を育ててほしい-筆者自身が雑誌ライター出身であるがゆえに、強くそう思うのである。

 津田大介

 1973年生まれ、東京都出身。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学文学学術院教授。大阪経済大学情報社会学部客員教授。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書y)などがある。

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