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スペインで進化し続ける乾貴士を支えた、小さな街のサポーターとチームの愛情

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日本人らしさと人柄で採用された

 なぜエイバルにいい雰囲気ができあがっているのかを聞くと、小さなチームなりの哲学があるようだ。「強化部長が選手を獲得するときに、人間性を大事にしていると聞いたことがあります。例えばプレーと人間性が73の割合でプレーが優れている選手よりも、5546で人間性の高い選手を強化部は獲得するんです。だから、気のいい人しか来ない。そういう選手の集まりがエイバルなのかなと」

 ということは、乾を獲得した際にも人間性を重視していたのか? 当の強化部長、フラン・ガラガルサ氏から回答を得た。

 「確かに、私達はプレーヤーとしてチームに加入してもらう前に、それまで所属していたチームメイトとの関係性も含めてその人のパーソナリティを調査するようにしています。もちろん、TAKAの人柄のよさも聞いていました」 

 続けて、勤勉を重んじるバスクのチームらしい観点を明かした。

 「エイバルは、忠実で協調性があって規律正しい日本人の文化を尊重しているんです。日本が教育によってそのような“人”を作り出してきたことは、とても価値のあることで、そのような精神をもつ人こそチームに必要だと思っていました。それに彼は、スペインでプレーしたいというハングリーさに溢れていた。だから、実は選手としてのTAKAはあまり知らなかったんだけれど、彼に賭けてみました。そうしたら期待を上回る主力となったのです。

 一度も試合を欠場したことがないし、遅刻もしない、怪我もしない(20184月中旬まで)。まるで“ひとりでなんでも出来る遺伝子”をもっているかと思うようなプレーヤーです。そのうえ、すごく人懐っこくて、とても優しい。僕たちにとって本当に愛おしい存在なんです」

 そんなチームからの愛情を受けながら、乾はエイバルで日々成長し続けた。エイバル市街からクルマで30分の場所にある山奥の練習場に通い、仲間とゴールをグラウンドに運ぶところから練習を始め、激しくボールを奪い合った。練習が終わればみなで片付けをし、定期的に昼食をともにした。

 人選に始まるそれらの背景もあり、エイバルは一体感が魅力のチームとなっている。小規模、低予算、団結力が揃い、たとえサッカーに興味がない人をも虜にする人情劇と魅せるチームプレーを繰り広げる。超スーパースターはいなくても、奇跡を起こす瞬間を見たくて追いかけたくなってしまうのだ。

 チームのスローガンは、“Another football is possible”。これは、ビッグクラブとは違う、限られた条件で戦うスモールクラブのクリエイティビティを表している。ひとりの日本人が、そのようなチームの中心選手となった。

 「本当にいいファン、いいチーム。ここに来たことがとにかく最高です」

 乾はいまスペインで、子供のころの自分を裏切らない楽しいサッカーをしている。

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