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将棋が好きだ、というのが根底にないと、最後のところで頑張れない 淡々と王道を行く「ゆとり世代」名人、佐藤天彦

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将棋が好きだ、というのが根底にないと、最後のところで頑張れない 淡々と王道を行く「ゆとり世代」名人、佐藤天彦

「ま、僕も飛車が一番好きなんですけど、将棋の面白いところって、場合によっては飛車より桂馬の価値のほうが高くなったりすることがあるところなんです。価値の変動が劇的に起きるゲームなんで、つねに意外性を感じる楽しみがあるんですけど、コンピューターは人間よりもその価値の変動に敏感というか。人間だったら8割、この場合は飛車のほうがいいなというセオリーがあるんですけど、コンピューターの場合は膨大な計算をしているので、可能性が1割を切るレベルでも的確に、『ここは桂馬のほうが価値が高い』と判断してくる。そこは、コンピューターの計算力にかなわないところがあると思いますね。どうしても」

そもそもコンピューターとの戦いを断ることはできたんですか?

「今回の場合はできなかったと思います。叡王戦で優勝して、勝者は電王戦に出ると決まっていたので。もし本当にやりたくなかったら叡王戦に出ない、という選択肢はあった。それはもちろん考えられたし、実際にトップ棋士でも出なかった人もいたんですけど、僕の場合は出たので」

コンピューターとの対戦に興味はあったんですか?

「う~ん。対コンピューターということ以外にも、せっかくプロになれたので、一局でも多く対局をやるのが自分にとっての幸せでもあるし、プロとしての役割であるという考えもあってエントリーしました。名人がコンピューターとやるとなると、もちろん社会的には大きな責任を伴いますし、自分もたいへんな思いをするとは考えましたけど、純粋に新しい発見の可能性がある、という意味でコンピューターから得られることもあるんじゃないか、と思いましたし、そこは興味もありました」

名人にとって、将棋とは?

「ゲームなんですけど、でも本当に面白いゲームで、だからこそその時々の人たちを魅了して、それがずーっと積み重なってきて、いまがある。その魅力をまたつないでいく使命がいまの棋士にもある」

と、まず切り出した。

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