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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

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インディ500を制覇した初めての日本人 佐藤琢磨は勝つための準備ができていた

インディ500での優勝は琢磨の想像をはるかに上回る社会的インパクトをもっていた。レースが終わると間もなく、アメリカ副大統領から祝福のメッセージが届いた。安倍首相からは総理大臣顕彰が贈られ、着任したばかりの駐日アメリカ大使は公邸に招いて祝勝会を催してくれた。

「インディ500に勝つ、その影響力の大きさを改めて実感しましたね」

もっとも琢磨を驚かせたのが、ビル・クリントン元大統領だった。「僕は”With you Japan”というタイトルで東日本大震災の復興支援に取り組んでいるんですが、インディ500で優勝した後、ニューヨーク・タイムズに掲載されたこの活動の記事を読んだクリントン元大統領が『なんとかして琢磨に祝福の言葉を伝えたい』と思い立ち、それこそアメリカの政府が動いて僕のマネージャーを見つけ出して、額縁に入れるような立派なレターを送ってくれたんです」

インディ500の勝利は、琢磨に「GQ MEN OF THE YEAR」の栄冠をもたらすことにもなった。

「『GQ』はずっと憧れの存在でした。ファッションだけじゃなく、立ち居振る舞いや生き方も含めたホンモノの男、真のジェントルマンのための雑誌だと思います。そのような雑誌から賞をいただくことができて、本当に光栄です」

来シーズンの目標

琢磨の人生は、挑戦し続け、存在しなかった道を自力で切り開き、不可能を可能にする日々の連続だった。”運”に助けられた部分もあったが、挑戦し続けたからこそ幸運にも恵まれたと考えている。

「大相撲横綱の白鵬関と会う機会がありました。『運は大切です。運という漢字は軍にしんにゅう、つまり攻撃部隊(挑戦)が動いていることを意味するものです。言い換えれば、動き続けていない限り、運はやってこないのです』という主旨のことを言っていました。僕もまったく同感です」

そして2018年、琢磨は長年親しんできたホンダ陣営で最強との呼び声も高い、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍することになった。2012年にも在籍したチームだが、2018年からは2台体制に強化。もともと優れた技術力を有するチームだっただけに、名実ともにトップチームの仲間入りを果たしたと評価する関係者は多い。

「インディカー・シリーズのチャンピオンを狙うには理想的なチーム。とても楽しみです」と語る琢磨に、「じゃあ、次はシリーズ・チャンピオンが目標ですね」と訊いたところ、こんな答えが返ってきた。

「もうひとつあります。インディ500の連覇、そしてシリーズ・チャンピオン。これが来季の目標です」

間もなく41歳を迎える佐藤琢磨。しかし、夢はまだ膨らむばかりのようだ。


 TAKUMA SATO

 1977年生まれ。英国F3とマカオGPを制した後、2002年にF1デビュー。2004年F1アメリカGPで3位表彰台に上がるも、2010年にはインディカーに転向。2013年第3戦ロングビーチで優勝した後、2017年インディ500で日本人初のウィナーに輝く。高校と大学では自転車競技に打ち込み、インターハイ優勝、全日本学生選手権個人戦優勝の栄冠も掴んだ。

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