Cクラスを超えたメルセデスのコンパクトカー--新型Aクラスを小沢コージが評価する - 産経ニュース

Cクラスを超えたメルセデスのコンパクトカー--新型Aクラスを小沢コージが評価する

 「こりゃマジでCクラス、要らないかも?」 
 乗るなり小沢はドカンと衝撃を受けてしまった。そう、先日クロアチアで乗ったばかりの新型4代目メルセデス・ベンAクラスにだ。一見、デザイナーが「モダン・ラグジュアリー」と呼ぶセクシースタイルが自慢の現行3代目の延長線。新作プラットフォームのMFA-IIも一部に先代MFA(メルセデス・フロントドライブ・アークテクチャー)の進化版というウワサもあり、もしや手直し程度か? と一瞬思ったが、乗ってみるとクオリティレベルが全然違う。スタイルからステアリングフィールから乗り心地から静けさからエンジンの力強さまで、全面的にガチで良くなっているのだ。
 とくに先代Aクラスの、とくに初期型で厳しかった乗り心地とは雲泥の差。ガツンと入っていた衝撃は本当にソフトになり、先日北京で発表されたロングホイール版セダンを考えると、マジで一つ上のCクラスの代わりにもなりうるかも?と思えるほど。Cクラスは走り味優先のFRレイアウト、Aクラスは変わらずスペース重視のFFレイアウトだが、そんなの関係なしのクオリティ下克上! 実際、中国版はホイールベースが80mmも広げられているので乗り心地にしろ、よりいいはず。 
 それはさておき、今回乗ったノーマルホイールベースのハッチバックも別物といいっていい進化。スタイルは一見3代目譲りのスポーティフォルム。しかしよりキリッとシャープになったLEDヘッドランプを含め、全長が120mm、全幅が16mm、ホイールベースが30mmも伸びた一方、高さはプラス6mm。結果、リアから見た時のワイド感、ドッシリ感は別物。まさしくひとクラス上の存在感。
 乗っても同様。これまた大成功した3代目のセクシースポーティ路線を受け継ぎ、インパネは伸びやかな上質ポップ路線。センターの大きな三連丸型エアアウトレットを特徴とし、マジメなジャーマンデザインというより、適度にイタリアンテイストが入った感じ。
 しかし、全体のマテリアル感、ムードはこれまたひとクラス上。目立つ3連アウトレットは、まるでロケットの噴射口のような凝った立体造形になり、縦に回すとエアが止まり、横に戻すと出てくるがその操作感もリッチ。ステアリングはSクラス同様のデザインで、なにより光沢あるメタリックマテリアルが上質だ。
 そして圧巻なのはこの世代からSクラスより先に取り入れた新世代のインフォテインメントシステム、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)だ。Sクラス顔負けのダブルスクリーン式ディスプレイを基本とし、ノーマルで7インチ、オプションで10.25インチの横2連モニターが選べる。そして運転席前はスピード表示やトルク表示などのドライバーに特化した情報、センター側は助手席とも共有するオーディオやナビや車両設定の情報を表示するのだ。
 これが物凄く使い易いかはともかく完全にスマホライクな新しい世界。ドライバーならステアリング左右に取り付けられたタッチセンサー、助手席からならセンターコンソールに取り付けられたタッチパネルで操作可能。操作にはスマホを憶えた時のような馴れが必要だが、限りなく感覚的になっている。 
 なにより日本仕様と同時に日本語対応になると言われるオプションの音声認識が凄い。最初に「Hey, Mercedes!」と言えば、機能が立ち上がり、後は「エアコンの温度を下げて」「今の東京の天気は」とか、自分のiPhoneやスマホに繋げていれば「あの曲をかけて」などとリクエストできる。しかも凄いのは、推察機能で、「エアコン設定温度を下げて」の代わりに「I'm hot」(ワタシ暑い)などと言えば動いてくれること。とはいえ今回はまだ英語対応のみで、小沢の発音だと動いてくれる確率は50%以下。しかも複雑なセンテンスだとほぼ通じずじまいだったが。
 とはいえ語学堪能なネイティブスピーカーだと「30分クルマと楽しく会話できた」と証言する人もいるほどで、この手の自動化は今後先があると感じた次第。とりあえず日本仕様に乗ってみるのが楽しみ。
 そのほかSクラス顔負けの車内モダンムード照明とも言うべきアンビエントライトは64色と超豊富。これまた英語で「アンビエントライト、イエロー」などと言えば音声設定も出来、非常にユニークだった。
 というわけで走るスマホとして劇的進化を遂げた新型Aクラスだが、同時にクルマとしての本格的な味わいも増しているから凄い。 
 前出車内スペースは前後共に肩回り、ヒジ回りが広くなっただけでなく、特にリアシートは身長176cmの小沢が普通に座れるレベルに。とはいえ当然これはCクラスには及ばぬレベルで、本来ロングホイールベースを試したいところ。そしてトランク容量は29L増えて通常で370リッターと現行ゴルフ並みになった。
 かたやなによりも生まれ変わったのは走りで、乗り心地の上質感、ハンドリングのゆったり感が全然違う。特に小沢が最初に乗った新型2リッター直4ターボに7DCTを組み合わせた「A250」は凄い。エンジンは旧型の2リッター直4をベースに、内部摩擦を減らすシリンダーウォールや可変バルブ機構、カムトロニックを組み合わせ、ピークパワー&トルクは224ps350Nm。これが下からパワフルなだけでなく、本当に走りがいい。
 新型Aクラスは上級グレードのA250はもちろん、18インチ以上のタイヤを履いた仕様はリアサスがトーションビームからマルチリンクに切り替わるようで、乗り心地からハンドリングまで格段の出来。特にステアリングを切ったフィーリングは、これまで以上にSクラスライク。本当に全長4.4mのコンパクトカーとは思えないレベルなのだ。
 そのほかルノーと共同開発の完全新規の1.4リッターエンジンを搭載した「A200」も乗ったが、こちらは「A250」に比べると乗り心地の硬さを多少感じる。しかし、電子制御ダンパーの入っていない、ノーマルサスペンション仕様はいい具合。ピークパワー&トルクは163ps260Nmと多少落ちるが、こちらはこちらで小型化した7DSGと組み合わされて、低回転から力強い。気筒休止システムも備え、燃費にも気を使っており、最初に乗ったA250ほどの下克上感はないものの、コンパクトハッチバックとして別格の心地よさ。
 静かさも両グレート共に今までにない防振材やダンピングレイヤーが取り入れられ、確実にレベルアップ。
 さらに最後になってしまったが先進安全であり、半自動運転機能もなんとまたSクラスレベルだというから恐ろしい。ミリ派レーダーはもちろんカメラもSクラスレベルのセンサーが使われており、まずは後方も見れる自動ブレーキたるプレセーフ・プラスに加え、拡張型アクティブブレーキアシストを標準装備。これは停止中の車両だけでなく、遅い車両、速い車両、道路を横切る歩行者、自転車も判別し、自動警告する。
 同時にこのクラスでは初めて自動車線変更補助こと「アクティブレーンチェンジングアシスト」も装備するのもさすが。空いた高速ではウィンカーレバーの操作だけで車線変更ができてしまうのだ。
 ってな具合でスタイル、走り、先進性、自動運転性能でクラストップに躍り出た新型Aクラス。ちとホメ過ぎなのがコソバユイ限りだが、疑うのなら実際に乗ってみてくれ! としか言いようがないクルマでもあるのだ。黙ってアナタも乗ってみるべし。日本に来たらね。