堕ちた名優ケヴィン・スペイシー 性的暴行事件発覚からの転落の経緯

 

 Netflixはこの声明が出た後すぐに反応。スペイシー主演のドラマ「ハウス・オブ・カード」を現在撮影中のシーズン6で打ち切ることを発表した。Netflixによるとこれは「数カ月前に決定していたことで今回の告発とは関係がない」としている。

ケビン・スペイシー氏(ゲッティ=共同)

 しかし話はここで終わらなかった。スペイシーはセクハラ常習犯だったのである。彼は2003年から2015年にかけてロンドンのオールドヴィク劇場で芸術監督を務めていたが、当時複数の若い俳優たちに性的嫌がらせをしていたことをメキシコ出身の俳優ロベルト・カヴァゾスが暴露した。

 さらにもっと最近の事件も明らかに。ドラマ「ハウス・オブ・カード」の撮影現場でも性的嫌がらせをしていたのである。元スタッフを含む8名のスタッフが「スペイシーは性的搾取者だ」とCNNに対して告白。ある男性アシスタントは「初期のシーズンで彼から性的暴行を受けた」と話している。

 次々と明らかになるスペイシーの行為に対して、一度は撮影中だったシーズン6の撮影を延期すると発表していたNetflixはさらに厳しい処分を決定。「シーズン6(ファイナルシーズン)はケヴィン・スペイシーを出さずに撮影する」と発表した。主人公のフランク・アンダーウッド大統領が登場しないままファイナルシーズンを終えるという決断を下した。Netflixは撮影を一時中断している間に「番組の展開を考える」としている。

 大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの30年以上にわたるセクハラ行為が告発されたことをきっかけに、他の有名俳優や監督、映画会社のトップたちの性的暴行事件が次々と暴露されている。ケヴィン・スペイシーも、約30年前に当時未成年だった俳優のアンソニー・ラップに性的暴行をしていたことがラップ本人の告白で明らかになった。

 スペイシーは事態を収拾すべく、すぐに謝罪した。SNSに「正直に言うが覚えていない。しかし私が彼の説明したような行動をとっていたならば、それが酔ったうえでの非常に不適切な行動だったと謝らなくてはならない」と声明を発表した。謝れば済む問題でもないのだが、ワインスタインのように「やっていない」とか「合意だった」とか言い訳するよりはマシ。しかしここからが大問題だった。

 スペイシーはつづけて声明のなかで「ゲイだ」とカミングアウトしたのである。「私はこれまで男性とも女性とも関係をもってきました。その結果、ゲイとして生きることを決意しました」と告白したのだ。

 これに批判が殺到。「あなたの性的志向は性的暴行とは何の関係もない」と指摘する声や「ゲイだと告白することで暴行事件から目をそらそうとしている」と非難する声があがった。俳優仲間も一般人もLGBTQもストレートも男性も女性も激怒した。つまり全員を敵に回してしまったのである。

 またケヴィンの事務所CAAも彼との関係を絶つことを決定。またパブリシストのステイシー・ウルフも彼との契約を打ち切ると発表した。孤立無援状態である。

 さらに刑事事件に発展する可能性も出てきた。先週末、スコットランドヤードことロンドン警視庁は、スペイシーが2008年にロンドンで起きた性的暴行事件に関わっているとして捜査に着手することを発表。新聞「ザ・サン」によるとスペイシーの自宅で酔って眠ってしまった当時23歳の男性が「目が覚めたらスペイシーが自分を犯そうとしていた」と告白しているという。

 映画『アメリカンビューティ』(1999年)や『ユージュラル・サスペクツ』(1996年)でアカデミー賞を受賞したスペイシー。舞台俳優としても高い評価を得ていてトニー賞も受賞している。その裏の顔にハリウッドもファンも衝撃を受けている。

 堕ちた名優はこれからどんな運命をたどるのだろうか……。